むかしばなし 2


「誰もがライオネルの努力を侮っておった。才能がないのに何をしたって無駄だと。私たちは各々の分野でそれなりの結果をだしてきた。だから才能がどれだけ大きな要素か理解していた。いや、理解したつもりでいた」

 才能。おれにはあるんだろうか。

「あるとき私たちはダンジョンに入ったとき壁にぶつかった。そこを通らなければ先へはいけない。けれど、その壁は今までに見たこともないような材質で出来ていて、どんな手段をもってしても傷一つつけることはできなかった。私たちは行き止まりだと結論づけた。私たちの力を持ってして壊せないならば、それはすなわち誰にも突破できない。そう思っていた」

 そんなにすごいものがダンジョンにはあるんだ。

「誰もが引き返して国へ戻る準備をしていた時、ライオネルだけはその壁と向き合って剣を振り続けた。そして何度目かのとき、ついに壁は破れた。いや裂けた」

 アルベルトは熱心な信者みたいに手を組んで上を見ていた。


「覚醒したんじゃ。ライオネルの努力が一気に開花したんじゃ」























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