ラグーンを探せ

 ラグーンをさがせ。

「ラグーンってなんだ」

 場所なのか、人なのか、物なのか。それすらも分らない。手掛かりが少なすぎる。分かるのは、ソルティアさんが七つの街について知っていたということ。それから、俺がまだまだ力不足だということだった。

 まずは王都に向かおう。きっと俺が知らないものも情報もたくさんあるに違いない。

 村から王都までの道のりは長い。途中で何度か休憩をはさみながら早足で進んだがタイムアップが近づいてきた。日が傾き夜になろうとしていた。

 「今日は野宿か」

 地図をみるが自分がどれだけ王都に近づいたのか分からなかった。感覚としては半分くらいは進んだはずだが、なにしろ目印が少なすぎる。見渡しても大きな岩がいくつかあるだけで民家も人の影もない。旅人がうちの村にきたときになぜあんなに喜んでいたかが分かった気がした。

「もう少し歩いたら焚火でもするか」

 半ばあきらめかけていたとき、岩の裏になにかがあるのみつけた。それは影だった。しかし、普通の薄い影と違って、質量をもった濃い液体みたいだった。その上に小さな石を落とすと、石は影のなかに吸い込まれて、影の水面に波がおきた。

 「どこかへ続いている…?」

 それが何かもどこへ続いているかもわからない。もしかしたら触ることすら危険なものかもしれない。それでも好奇心を抑えることが出来なかった。

 俺はそっと右手で影にふれた。指先から波紋がひろがる。影のなかに手を入れてみる。冷たい感覚が指先から手首をとおって腕まで覆った。手を動かしてみるが、中には何もない。おそらくもっと深いところまでつながっているのだろう。さすがに全身で影に飛び込む勇気はなかったので、そろそろ切り上げようとしたそのとき。

「うわああああ」

 何かに腕をつかまれて、影のなかへ引きづりこまれた。

















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