間話

 〜尊が本願寺から降って来た人達と問答している時〜


 「ふふふ。相変わらずじゃじゃ馬なこと」


 「ヒヒィーンッ!(俺の背中に乗り、振り落とせない人間は初めてだ)」


 「私は人間ではないからね。よいしょっと・・・。あなたが今後仕えるのはマスターよ。けど、嫌々仕えるというのならそれなりに『分からせて』あげようと思うのだけど、どうしようかしら?」


 「ヒヒィーンッ!(ふん。俺は誰にも仕えん!ましてや、人間を背中に乗せるなぞ、屈辱の極みではないか!)」


 「ふふふ。そう言うと思ってたわよ。人間の営みには口出し、手出しできない掟があるけど、馬相手には何も言われてないからね。それにね・・・あなた達馬の始祖であもあるヒッペーと私は同列なのよ?仲も良いしね」


 「ヒヒィーンッ!(何を訳が分からん事を言っている?)」


 「あ、もしもし?ヒッペー?うん。うん。こっちこそよ!元気してるわよ!そうなんだ!?なら今度、天界に戻ったらアースガルドのヴィーンゴールヴにご飯でも食べに行こう!奢るよ!うん。うん。そうなのよ。今は色々とあって、人間界に居るのよ。少しの間、助けてくれると助かるんだけど?そうそう!ヒッペーのマナを少し私に送ってくれる?暴れ馬だし、偉そうなのよ。うん。うん。分かった了解!ありがとう!」


 「(何をしている?)」


 ポワンッ


 「(なんだそれは!?初めて見るが知っているような気もする)」


 「どこか懐かしくも感じるんじゃない?私も強制的には従わせたくないの。もしこれを食べて、まだ私達に乗らせたくないと言うのならば放逐してあげる。どうかしら?」


 「(ふん。笑わせる。俺がそう簡単に従う・・・わ・・・けは・・・)」


 「それは私の親友のマナ。あなたの種族としての始祖の塊の一部と言えばいいかしら?自然と惹かれ合うのよ。どう?従う気になった?」


 プルルルル


 「もしもーし?うん?リンクできたって?そう!そうでしょ!?かなり我が儘な子だったのよ!今しがたヒッペーのマナを与えたの!うん。うん。ありがとう!じゃあまたね!」


 「(これまでの数々の非礼を詫びる。ヒッペー様から、『命ある限りあなた様の命令に従いなさい』と言われた)」


 「そう。私じゃなくてマスターに仕えなさい。何も人を襲えとか言うわけじゃないの。マスターを乗せてあげなさいってだけだから。あなたもヒッペーの力が宿ったのは分かるでしょう?」


 「(あぁ。なんとなく力が湧いてくるような・・・。とにかく走りたい気分だ)」


 「ふふふ。いいわよ?勝負してみる?それに力の使い方を教えてあげましょう」


 

 〜堺国友衆〜


 「親方様?本当に真っ直ぐ飛ぶ種子島を作る者が居るのですか?」


 「うーむ。南蛮からの新式の種子島かと思うたが、そうではなさそうだ。それに明智様は片手銃も持っていた。同じ者から齎された物らしい」


 「仮に、日の本の者が作ったとして、我等は頭を下げるのですか!?」


 「仕方ないだろう。まずは近江国友一門に話をつける。堺の加工場は近江の国友一族に任せる事にする」


 「では親方様は堺国友の名を捨てるのですか!?」


 「場合によってはな。ワシはあの鉄砲の真髄を知りたい。理論によっては連射できる銃もあると聞いた。銃身を長くして、射程距離を伸ばし、相手に気取られる前に狙撃する鉄砲もあるそうだ」


 「そんな物がこの世にあるのですか!?騙り者のようにも聞こえますが・・・」


 「ワシもそう思う。だが、片手銃をワシはこの目で見た。射撃は見ておらぬが、連射ができると明智様は言っておられた。あの方は嘘なぞ吐くお方ではない」


 「おぉ〜。善兵衛兄者!久しいな!堺では中々にやりおるそうだのう!」


 「吉兵衛。久しぶりじゃ。上様から話は聞いてあるだろう?」


 「あぁ。堺の加工場を近江国友一門に譲り、元の堺国友一門は安土で再出発とな?何かやらかしたのか?」


 「いや。ワシもよくは分かっておらんのだ。悪いが一泊だけさせてくれ。明日には安土へ向かう」


 「うむ。気にせずに何泊でもしてくれ。上様の小姓の遠藤殿からだ。『先方の尊殿からこれで英気を養ってほしい。酒精が強いから飲み過ぎるな』とこれを貰った」


 「うん?酒か?それにそのビードロの入れ物は!?」


 「これは近江の野良鍛治の何とかって奴が作った物らしいぞ?」


 「・・・・まぁ分かった。せっかくだ。お前等も飲もうぞ」


 「よっしゃ!他にも肴を貰ったんだ!見た事もない物ばかりだ!」

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