第30話 戦いの果てに
「おかしいな…」僕は小声でつぶやく。
彼女がアリーシャに決定的な一撃を与える最適なタイミングで攻撃を逸らしている。
その行動は戦術的に見ても意味がない。
彼女の攻撃が故意に急所を避けているのを見て、私は何か大きな理由があると感じた。
また、ルナの攻撃は確実にアリーシャに命中する。
しかし、魔力障壁で防げる場所でありアリーシャに大きなダメージはない。
日本で理学療法士として働いていたから
人体の仕組みはよく分かる。
闇雲に攻撃するより、アキレス腱やみぞおちなど
効率的に相手を戦闘不能にする場所は数多くある。
ルナが確実に攻撃を当てることができるなら
必ず急所を狙うはずだ。
心の中で疑問が渦巻く。
「なぜだ?彼女はなぜわざわざチャンスを逃すんだ?」
この疑念を解消するため、戦いの合間に「改善する者」を使うことにした。
「改善する者」を自分の目に使うことで目が一時的に強化され、魔力の流れを把握できることになった。
これで、他者の影響を受けているかどうかがわかる。
「これで真実が見えるはずだ…」
集中を深め、周囲の魔力を感じ取る。
そして、ルナから発せられる奇妙な魔力の流れを察知する。
それはルナの魔力の流れとは明らかに違い、外部からの影響を受けている。
「これは…誰かが彼女を操っている?!」
アリーシャに伝えようとしたが、声が届かない。
まるで何者かが彼の声を遮っているかのようだ。
「これは魔法の仕業か?」
一方、アリーシャはルナの攻撃を次々とかわされている状況に業を煮やし、
「もうこれ以上、交わせない攻撃を放てばいい!」と決意し
自身の最大魔力を使い準備を始めた。
彼女の手から魔法のエネルギーが集まり、輝かしい光を放ち始める。
「あれは!」
ルナもそれに対抗するため、精霊との協力を得て、強力な防御魔法を展開した。
彼女は「万物の声を聞く者」の力を使い、周囲の精霊から力を借りて、エネルギーの盾を形成する。
「どんな攻撃からも守ってみせる」とルナは静かに呟く。
アリーシャが放った魔法の一撃は、ルナが形成した防御盾に激突し、その衝撃は戦場全体に響き渡った。
両者の力がぶつかり合う瞬間、その場に異変が起こる。
黒い影が現れる。
それはアルケミスだった。
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