第16話 リハビリで戦争が解決するかも?

2ヶ月のリハビリで多くの高齢ドラゴンの機能は回復していた。


自分の力で飛べるようになったり、また戦士として戦場に戻っていくものなど


ドラゴニアの高齢化問題は徐々に解決に向かっているようだ。




「さて、今日もデイサービスで楽しくリハビリだ」


いつものように、デイサービスに向かっていると




「ナオルさんですね。」




知らないドラゴン達に話しかけられた。


「そうですけど…何かようですか?」




「はい、国王様が緊急でお呼びです。」


「すぐに、城に来てください。」




「はいっ?」




俺は緊急で国王に呼び出されたのだった。




「久しぶりじゃな、ナオル殿」




「こちらこそ、お久しぶりです。」


「戦いの傷はいかがですか?」




俺は評価する眼で見るだけで相手の状態が分かるのだが


社交辞令で聞いてみる。




「まぁ…上場じゃな」




「それは良かったです。」


どうやら、エルフの英雄から喰らった一撃の傷はまだ言えていないようだ。


右の翼の筋肉の損傷が残存している。




「今回はどのような要件でしょうか?」




話に詰まったので


要件を聞くことにした。




「そうじゃ!ナオル殿のおかげて我がドラゴニアの高齢化問題は順調に改善に向かっている」


「心から礼を言う」




「いえ、こちらこそです。」


日本で理学療法士としてリハビリしていたのと同じことをしていただけなのに


ドラゴンの国王に感謝されるなんて…なんか複雑な気持ちだな




「リハビリのおかげで負傷していた兵士も戦場に戻ったおかげで、我が軍の戦力問題も解決に向かっている」




「もしかして、高齢化問題で戦士の数が激減していたから…」




「そうじゃ、特別な力を持った王族自ら戦闘に出向く状態だったのじゃ」




確かに俺と国王が出会った戦場は


明らかに最前線だった。


そこに、国王自ら出るなんて国の緊急事態だったんだな。


国王がやられたらドラゴニアは政治の中枢機能、最大の戦力を同時に失いかねない状況だったのか。




高齢化問題はそこまで深刻だったんだな。




「それは良かった。みなさんの生活が守られて嬉しいです。」




「そこで戦争状況が動きだしたのじゃ」




「動きだしたというと?」




「アリーシャ、ここから先はお前に説明してもらう」




国王の隣にいたアリーシャが立ち上がる。


この世界の戦争は宣戦布告に始まり、和平交渉で終わります。




「ああ、俺の元いた世界と変わりないな」




「和平交渉は2つのフェーズがあります」




「まず、両国の代表が戦争終了の条件を提示します。」


「次に各国の代表戦士による一騎打ちを行います。」


「一騎打ちの勝者の国の条件が優先されて和平交渉締結となります。」




「和平交渉なのに一騎打ちするのか?」


「随分と荒々しい交渉だな」




結局、武力が高い国が有利な仕組みっぽいよな。




「仕方ありません。この世界の古からの各国同士の盟約なのです。」


「その代わり、この盟約に従うのなら種族滅亡は原則行われない取り決めになっているのです。」




なるほど、確かにこの盟約に従うのなら


国が弱体化することはあっても、滅ぶことはないか。




「だったらなんで、エルフの国とさっさと和平交渉を行わなかったんだ?」




そうだ、国が消滅することがないなら


早めに交渉して犠牲を最小限にすることが大切じゃないのか?




「それができなかったんです。」


アリーシャは思い口を開き始めた。


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