第13話 前鋸筋を鍛えよう!

中に入ると大勢のドラゴンたちが集まっていた。どうやら人間の姿でリハビリを受けたいらしい……




「ナオルさん!待っていましたよ」


「今日はどんなリハビリをするんですか?」




ドラゴン達に話しかけられる


みんな、体力が回復していくのが楽しいようだ。




「今日はアリーシャと機能強化のリハビリの実験をするんです」




「なので、今日はナオルさんをお借りしますね」




なんかアリーシャは嬉しそうだ。


「なら、機能強化のリハビリを見学させて下さい」




まあ、せっかくデイサービスに来てくれているんだ


リハビリへのやる気を失わないためにも見学くらいはいいか




「じゃ早速だが、アリーシャパンチしてみてくれ」




「分かりました…はっ!」




次の瞬間、デイサービスの壁に拳の形で穴が空いてしまった




「えっ?」




「すみません!手加減したのですが…」




ドラゴンの魔力を舐めていた…




アリーシャが本気で攻撃したら、こんな施設一瞬で崩壊してしまう。


「皆さんに怪我をさせる訳にはいきません!」


「なので、アリーシャはこの施設内では全力を出すことは禁止だな」


俺はアリーシャに伝えた。




すると、アリーシャはションボリしていた……


なんか俺が悪いみたいな雰囲気になっている!!


(俺が悪いのか……?)




みんなでデイサービスの庭に移動することになった。


「ドラゴンってみんなあれくらいのパワーが出せるのか?」




「いえ、おじいさまや私のような王族だけです」




【評価する眼】でアリーシャと他のドラゴンを評価してみる。


確かにアリーシャは魔力5000overだがその他のドラゴンは魔力500くらい


王族はかなり魔力が強いのは本当らしい。




「その王族を倒すエルフの英雄って何者なんだよ…」




まず、パンチをするときに必要な筋肉を強化することにした。




「パンチをするために必要な筋肉、それは前鋸筋だ。」




「前鋸筋ってなんですか?」




日本で理学療法士の後輩にレクチャーしたいるみたいだな…




「前鋸筋は、肩甲骨の側面と上腕骨につながる筋肉で、パンチング動作において非常に重要な役割を果たすんだ。」




俺は日本でボクサーのリハビリをした時の知識を使うことにした。




「この筋肉は、肩甲骨を安定させ、腕を前方に動かすのを助ける役割を持っている。」


「アリーシャ、パンチの時は何が求められると思う?」




「魔力を拳に込めること?」




「確かにそれも大切なんだけど…」


「パンチの際には、力強くかつ速く腕を前に伸ばす動作が求められるんだ。」






「じゃあ…その前鋸筋が十分に発達していれば、この動作がスムーズかつ力強く行えるようになるってこと?」




「その通り!」




俺は【改善する者】で一時的にアリーシャの前鋸筋を強化してみる。


【改善する眼】で評価すると、魔力が8000に向上していた。




「じゃあ、アリーシャは向こうの大きな木にパンチしてみて」




俺はデイサービスの隣にある大木をパンチするように指示した。




「あの大木はドラゴニアが生まれる前からある守護の木と呼ばれるものですよ?」




「だからこそ、アリーシャの力を測るにもってこいなんだ」




デイサービスのように破壊されてしまっては敵わないからな…




「分かりました…いきますよー!」




次の瞬間、守護の木は大きな音を立て


倒れてしまった。






「え?」


アリーシャはまさかこうなるとは思ってなかったらしく、驚いていた。




俺はドラゴンのパワーに若干引きつつも彼女に話しかけた。




「さて、アリーシャ」


「リハビリの効果はどうかな?」




「すごく、力が強くなってる気がします」


「守護の木を一撃で倒してしまうなんて……」




アリーシャは目を輝かせていた。






「人間の姿の時のパワーがドラゴンの時よりも落ちているのに……」




アリーシャは不思議がっていた。




「どうやら、アリーシャは人間の姿の時の方が魔力と筋力量が低いみたいだ」


「だから、人間の姿でいる時に前鋸筋を鍛えてやれば」




俺はドラゴンの姿に戻るように言った。


すると、アリーシャの姿がドラゴンになった。




「この姿でも前鋸筋を強くできるのですね!」




「でも【改善する者】の効果は一時的だから、持続的に強くするためにはリハビリが必要だな」






「それなら、筋トレメニューも考えておきましょう」


アリーシャは嬉しそうに言った。




「ナオルさんが私に人間の姿でも強くなれる方法を教えてくださり感謝しています!」


アリーシャが眩しい笑顔で言ってきた。




その笑顔が可愛すぎて思わずドキッとしてしまう……




(いかんいかん!俺にはあかりがいるじゃないか……)


俺は心の中で言い聞かせた。

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