第12話 アリーシャの風邪
風が冷たく窓を叩く季節の変わり目、ドラゴニアの王宮では小さな騒ぎが起こっていた。
愛される姫、アリーシャが風邪を引いてしまったのだ。
普段は元気で明るい彼女が寝込んでしまうと、王宮の雰囲気も一変し、どこか曇った空気が流れていた。
病室には、ドラゴニアの医師たちが忙しく出入りしていたが、彼らの治療にも関わらずアリーシャの咳は一向に良くなる気配を見せなかった。
彼女の病床には花束が飾られ、多くの人々が回復を願っていたが、誰もが心の中で不安を感じていた。
そんなある日、デイサービスがお休みの日に
僕はアリーシャの見舞いに訪れた。
彼はいつも通り明るく部屋に入り、アリーシャの顔を見ると心配そうに話しかけた。
「アリーシャ、大丈夫?」
アリーシャは弱々しく微笑んだ。
「心配かけてごめんね、でも、すぐに良くなるわ。」
ナオルはアリーシャの手をそっと握りながら、内心では彼女がこんなに弱っているのを見るのが辛かった。
彼は何とかして彼女を助けたいと思い、ふと自分の特殊なリハビリスキル【改善する者】を使うことを考えた。このスキルは通常、筋肉の怪我や損傷の回復に特化しているが、もしかしたら風邪の治療にも効果があるかもしれない。
風は細菌が喉を痛めているから起きる。
傷んでいる筋肉を治すのと喉を直すのはたいさないのでは?
「アリーシャ、少し変わった治療を試してもいいかな? 僕のスキルを使ってみたいんだ。」
アリーシャは少し驚いたが、ナオルを信頼していた。
ドラゴニアの医療水準では風邪を治療することは難しいことを理解しているのもあるが
「うん、お願いするわ、ナオル。」
ナオルは集中し、手をアリーシャの頭上にかざした。
彼の手から優しい光が放たれ、その光がアリーシャの体を包み込む。
数分後、アリーシャの表情が一変し、顔色が明らかに良くなった。
「これは...信じられない。ナオル、私、すっかり良くなったみたい。どうしたの?」
「これは僕のリハビリスキルで、普段はリハビリに使っているんだけど、今回は君の風邪にも効いたみたいだね。」
アリーシャは起き上がり、ナオルを強く抱きしめた。
「ありがとう、ナオル。あなたのおかげよ。」
その後、アリーシャの回復が王宮に広まると、ナオルの評判も一層高まった。
しかし、ナオル自身は自分の力がどれほど特別であるかを改めて認識し、その使い方にはより一層の注意を払うようになった。
風邪を治すことって
この世界では珍しいことなのか?
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