第11話 回復魔法ってなんですか?

1ヶ月後、人間の姿のアリーシャがリハビリしたドラゴンを連れて、僕に会いに来た。




【評価する眼】でステータスを確認すると、かなり筋力や体力が上がっているようだった。


「ナオルさん、お久しぶりです!」




アリーシャは嬉しそうな表情で言った。


「リハビリを受けたドラゴンたちはとても喜んでいます!」




アリーシャの話によると国王の命令により


王都以外でもデイサービスが導入されることとなったそうだ。




僕も嬉しくなった。


「そうか!それは良かった」




それからというもの、毎日のようにアリーシャが訪れるようになった。


そして、ある日のこと……事件は起こったのだ……。




今日もいつものようにアリーシャがやってくると思っていたのだが、1週間経っても来ることはなかった。


僕は心配になりアリーシャの様子を見に行った。




すると、ドラゴンと人間のハーフである彼女は衰弱し今にも倒れそうだったのだ。


「大丈夫ですか!?」




慌てて声をかけると、彼女は僕に気づいて言った。


「ごめんなさい……実は私……」


(まさか……何か病気に!?)


嫌な予感がした僕は急いで彼女に【評価する眼】を使った。


すると、彼女のステータスは大幅に下がっていた。




(これはどういうことだ?)


彼女のステータスを細かく確認すると、なんと魔力が枯渇しかかっていたのだ。




魔力は生命力と同義である。


魔力が枯渇すれば死に至ることもあるのだ。


(いったいなぜ……)


僕はすぐにアリーシャに尋ねた。




「どうして魔力が枯渇しているのですか?」


すると彼女は申し訳なさそうな表情をして答えた。


「実は……」






1週間前、近隣の領主達がデイサービスを見学することとなり、国王から自身も同行するように頼まれたらしい。


そして、話の流れでリハビリをやってほしいということになった。




しかし、当然ながらアリーシャには【改善する者】のスキルがないのでを領主たちの理解を得ることが難しかったのだ。


そこですっかり落ち込んでしまい、ベッドで寝込んでしまったとのこと。


エネルギーを取らないと魔力は枯渇していく。




【改善する者】がないんだからリハビリなんて出来ないのに…


俺からすればなるべくしてなった状態だが…




「せっかく国王様から頼まれたのに……」


落ち込んだ様子で話すアリーシャを見て僕は言った。


「大丈夫です!僕に任せてください」


僕は【改善する者】を使いアリーシャのステータスを回復してあげた。


すると、彼女は驚いて言った。


「これは……どういうこと?」




僕は説明した。


「最近気づいたんですが、【改善する者】は相手のステータスを回復することができるんですよ」


「……!!」


驚くアリーシャに僕は更に詳しく話した。




「興味深いですね!」




「でも、回復魔法と違って完全回復はできないんですけどね…」




「回復魔法?」




「もしかして……」


俺は気になっていることを尋ねてみた。




「アリーシャが病気になった時も魔法で治せないの?」


するとアリーシャは驚いた表情で言った。




「回復魔法は伝説の魔法です!」


「使えるのはごく僅か、本当に稀な存在なんですよ」




なるほど……。




「魔法は魔力を使い発動することができます。」




「回復魔法を使える者は膨大な魔力を保有している場合がほとんどです。」




「しかし、ナオルさんは普通の人と同じ魔力しか持っていない……つまり……」


「ナオルさんが回復魔法が使えるのは異常なことなんですよ!」




【改善する者】はこの世界ではレアスキルらしい。


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