第22話
おじいちゃんたちが帰ってくるのはまだまだ先かなって思ったら、もうすぐ戻ってくるみたい。エルンストさんも!
「アントンさん本当なの? おじいちゃんたちがこっちに帰ってくるって?」
まだ時間がかかるかもって思っていたから嬉しいな! でも話し合いとかはちゃんと終わったのかなぁ?
「嘘じゃないぞ。流石にそろそろ暴走魔野菜をどうにかしなきゃいけないからな」
「そうだよね……。何だかんだで時間がかかっちゃっている気がするし、町の人の結界石? は、まだ大丈夫そう?」
「ああ、まだ余裕はあるはずだぜ? ……一応」
アントンさん、一応って!
「厄介な人物の世話が増えましたからね」
ふんっとそっぽを向きながらロバートさんが言う。厄介な人物って……。
「私のこと?!」
「はっ、どうだかな」
「酷い! アントンさーん!」
従兄弟さーん、弟さんが虐めてきまーす。
「あーわり〜。そいつ今遅めの反抗期中なんだ」
「ああ、なら生意気な態度は仕方がないですね。一応私より年上みたいですけれど、我慢してあげましょう!」
「おっ、助かるよ。嬢ちゃんは話が分かるな!」
「あっはっは、アントンさんこそ〜」
これみよがしにアントンさんと笑い合う。反抗期か、子供かな? 私も子供だけれど少しだけ大人になってあげよう! 私が!
「別に反抗期じゃないっ! 兄さん、余計なことをこいつに言わないで下さい!」
心底嫌そうにロバートさんが言う。からかわれるの嫌そうだしね〜。反抗期じゃないって言っているけれどお顔は真っ赤っかだね! 怒られそうだから言わないけれど。
「ははっ! ロバート、顔が真っ赤だぞ?」
「ほっといて下さい!!」
あちゃー。私は我慢したのにアントンさんにからかわれちゃったかー! 何だかさっきよりも顔が赤くなっちゃったみたい。
なんだかんだこの3人で会話をしていた。私が何かを話すとロバートさんがつっかかってきて、そしたらロバートさんはアントンさんに昔のことなどでからかわれたりしていた。
ロバートさんは昔からアントンさんとよく一緒にいたみたい。だからあんなに小さい頃のことまで知っていたんだね。ふたりの昔の話を聞きながら時間は過ぎていった。
ガチャッ!
「戻ったぞ! 遅くなったな」
「うわあっ! お帰りなさい! びっくりしたよ?!」
急に、本当に何の前触れもなく部屋の扉が開きおじいちゃんたちが帰ってきた。
「ハイル閣下、部屋に入るときはノックをして下さい。急に閣下が来られたら心臓に悪いですよ!」
ロバートさんも驚いている。
「甘いな。アントンのやつは気づいたぞ?」
「「えっ?」」
思わずふたり揃ってアントンさんを見る。
「本当だ! 平然としていますね? どうして分かったんですか?」
私はあんなに驚いたのに! するとアントンさんは胸を張って答えてくれた。
「音だよ。一応俺はこれでも優秀だと言われているんだぞ? こっちに歩いてくる足音が聞こえたから戻ってきたんじゃないかって予想をしていたんだよ」
心構えをしていたからあまり驚かなかったとアントンさんは言った。たとえ心構えがあっても私は普通に驚きそうだな〜。
「見た目と雰囲気でそう感じないが本人の言う通り、こいつは意外と優秀なんだ」
肩をすくめてエルンストさんが言う。
エルンストさんが認めるくらいアントンさんって優秀だったんだ。だからあんなにからかわれて嫌そうにしていても、ロバートさんはアントンさんのことを従兄弟としても上司としても認めていたんだ。
…………ところで、帰ってきたのはふたりだけじゃなかったの? 何で増えているの?
「お嬢さん気にしないでいいよ? ただの騎士団仲間さ」
「いや、気にするなって言われても……」
無理がありすぎるでしょ。 こんなにぞろぞろと勢揃いされちゃあね?
ざっと20名程がこの部屋におじいちゃんたちと共に入ってきていたんだよね。いきなり帰ってきたのにも驚いたけれど騎士の人たちがいっぱい部屋に入ってきたのにも驚いたよ。
「話し合いは上手くいきましたか?」
「うん。もう討伐隊を組んでそろそろ殲滅しに行くよ。ロバートはこの隊に入って」
そう言ってエルンストさんが一部の騎士たちが集まっている所に行く様にロバートさんに言う。
「分かりました」
あれ? てっきり新しく来た人たち全員が同じ隊なんだと思ったんだけれど、6名は違うみたい。何で?
「嬢ちゃんは俺と一緒な?」
「あっ、うん。よかった!」
私も暴走魔野菜の殲滅のお手伝いをしても良い許可があったのかな? 分からないけれどおじいちゃんと一緒なら安心安全だね!
「結局こいつも連れて行くんですか?!」
心底納得行かなそうなロバートさん。ふふん、おじいちゃんがいいって言ったらいいんだからね!
「ロバートがいる隊をアントンに任せるよ。場所はここを頼む」
「おう、任せとけ」
「俺はこことは違う隊にいるから」
場所はここを担当するとエルンストさん。
「嬢ちゃんは俺と残りのこいつらと一緒にな?」
「はーい。もちろんライリーも?」
「一緒だ。俺の相棒だぞ?」
「だよね! ライリー、よろしくね!」
「ブルルンッ!」
「すっかり仲良くなったな?」
ライリーを撫でていたらおじいちゃんに言われた。分かる? 仲良しなのが!
「おじいちゃんたちが出ている間に仲良くなったんだよ? さすがおじいちゃんの相棒で愛馬! ライリーがいてくれたから寂しくなかったよ」
「……そうか、ならよかった」
よくやったとおじいちゃんもライリーを撫でる。ライリーもご満悦だ!
「あの……?」
「「あっ!」」
えへへっ! 一緒に組む? 人たちのことをすっかり忘れちゃっていたよ。おじいちゃんと一緒にね? 忘れていたのは私だけじゃないからね?!
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