第16話
問題。私は今、なにをしているでしょうか?
「だから! 大丈夫って言っているじゃないですか! 相棒も一緒ですし!」
「そんなヒモみたいなもので、何ができるって言うんだ! 大人しくここで待っときなっ!」
「アントンの言う通りだよ? ハイル爺さんは元気だけれど、歳だからね。何かを見間違えたんだろう」
「いや、やってみれば分かるから……」
「傷ができたらどうするんだ! ダメだ!」
正解は〜……。暴走魔野菜を退治するのをアントンさんとエルンストさんに、めっちゃ止められています! 私の相棒、強いんだよ? 見てくれればその凄さが分かるから!
「おい、エルンスト」
おじいちゃん! もしかして私に助け舟を? おじいちゃんは私の相棒の実力を知っているもんね!
「エルンスト、俺はまだ現役だ。そしてまだまだ若いぞ!」
違った! おじいちゃん気にしていたんだ。エルンストさんにお年寄り扱いされたことを。
「いえ、ハイル爺さん。こんなにか弱そうな女の子が逃げた暴走魔野菜を殲滅したって……信じられませんね。寝ぼけたのでは?」
「寝ぼけとらんわっ!」
わ〜、おじいちゃんが怒った! そうだよね、おめめぱっちり起きていたもんね! あとエルンストさん、私は別にか弱くはないと思うよ?
「エルンスト」
アントンさんが真顔でエルンストさんを呼ぶ。さすがにエルンストさんがちょっと言い過ぎなのを、止めるのかな?
「爺さんはな? 寝ぼけているんじゃない」
おお、 おじいちゃんの味方だ!
「では?」
「爺さんはな、爺さんは……普通にボケているんだよ。歳のせいで」
違った! 味方じゃなかったよ!
「ああ、言われてみればその通りだな」
「だろう?」
「ああ」
ふたりでしきりに頷きあう。ふたりの中ではもうおじいちゃんは歳をとってボケている人なの? でも会った時に、暴走魔野菜が町で暴れているから手伝って的なことを言っていたような気がするんだけれど。
「お前らなぁ」
あ……。激おこ? 激おこですか? おじいちゃん。怒りのオーラ? が凄いですね。さすがに健康体でボケてもいないのに、あんなにボロクソ言われたらねぇ? そりゃあ、怒りますよ。
「黙って聞いていれば、好き放題言いやがって! 俺は歳をとっていても健康でボケとらんわ! まだ若いぞ、俺はな!」
「その子におじいちゃんと、呼ばれているんでしょう? 若くはないかと」
え、飛び火? 確かに初対面からおじいちゃん呼びをしてしまっていたけれど! だって自己紹介していなくて、名前が分かったのも今だし! 仕方がないじゃんか〜っ!
「っごめんね! ハイルさん!」
おじいちゃん呼びが良かったんだけれどな。おじいちゃんが嫌なら、やめるよ。
「嬢ちゃんなら問題ない。そのままの呼び方で」
「本当にいいの?」
「いい。嫌ならとっくに呼ばせていないぞ」
そっかぁ、おじいちゃんって呼んでいいのか。嬉しいなあ!
「アントン、エルンスト」
おじいちゃんがふたりの方へと向かう。すると、拳を握りしめて……
――ゴッツン!――
……うわー、思いっきりいったよ。痛そうだけれど、あれはふたりの自業自得かな?
満足げな顔をしているおじいちゃんを見て、そう思いました。
町へはいつ、行けるんですか?
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