第15話
改めて、町中の状況を2人から聞くことにした私たち。建物の中の一室に案内されたよ。建物と部屋は、馬のライリーも一緒でも狭くないって、凄いよね。こんなに大きいのに!
「じゃ、説明するぜ。今、町の連中は結界石で身を守ってもらっている。家庭で野菜を育てている者が思った以上に多くてな。その野菜の全てが暴走魔野菜に変わってしまっている」
「普通の魔野菜ではなく、暴走魔野菜は戦える者が限られていますから……」
やっぱり、家庭菜園の野菜が暴走魔野菜に変わっちゃったんだ。全部が変わるって大変だよ! 普通に育てていたはずがあんなに凶暴な野菜になるんだもん。……破片だけでも、美味しかったけれど。
「……あれ?」
なんか、引っかかるなぁ〜。エルンストさんの話し。
「嬢ちゃん? どうした」
「エルンストさんの話。暴走魔野菜は、戦える者が限られるって……」
「それのどこが気になるんだ?」
アントンさんが不思議そうに聞いてくる。おじいちゃんは、成程って顔をしているな?
「――ふたりとも」
やけに真剣な表情で、エルンストさんとアントンさんを呼ぶおじいちゃん。どうしたんだろう?
「どうしたんだよ? 爺さん」
「何かあったのですか?」
ふたりも真剣な顔だ。一体何があったのおじいちゃん! 考えても私は魔野菜より、暴走魔野菜の方が美味しいのでは? としか思いつかないよ!
「エルンストにアントン、よく聞くんだ。これは嘘ではなく、本当の話だ。俺が保証する」
『はい/おう』
一体何を話すんだろう? 私が聞いてもいい話し? ドキドキしながらおじいちゃんが話すのを待つ。
「この、譲ちゃんはな……」
え、私のこと?
『お嬢さんが/お嬢ちゃんが?』
私を真剣に見る、3人。私の勘違いじゃなければ、ライリーもこっちを見ているような……。
「――暴走魔野菜を、殲滅できる実力の持ち主だ」
うん? 確かに暴走魔野菜を倒したことはあるけれどさ。あの時は無我夢中だったし! 殲滅って!
『え……?』
呆然と私を見る、ふたり。え、待って? 本当に暴走魔野菜って、倒せる人が限られているの? エルンストさんの話は本当のことだったの?!
「おいおい爺さん、いくら何でもそれは――」
信じられない、とアントンさんが。
「ハイル爺さん。それは本当で?」
エルンストさんも信じられないとおじいちゃんを見る。そんなに信じられないことかなぁ?
「本当だといっているだろうが。まったく」
おじいちゃんがやれやれとした感じで言う。そんなに私が暴走魔野菜を倒したように見えないのかな?
「一応、おじいちゃんの言っていることは本当のことだよ?」
暴走魔野菜を倒したのは事実なので言ってみる。
『えっ?/はあ?』
いや、そんなに驚かなくてもいいじゃん! そんなに驚かれると、本当にヤバイものを相手にしていたと思っちゃうでしょ!
「暴走魔野菜を……ではなく、魔野菜を倒したのでは?」
いまだに信じられないのかエルンストさんが聞く。その横でアントンさんが首を上下にブンブンと振っている。あんなに振ったら首が取れちゃいそう……。
「違う、正真正銘の暴走魔野菜だ。俺の畑から結構な数が逃げてしまったが、嬢ちゃんが倒してくれた」
『……っ!』
バッと振り返り、また私を見るふたり。そんなに目を見開いて見られたら怖いからね? あと、目が乾燥しそう。目薬をさしたくなる!
ふたりを置いてさっさと町の人たちを助けに行かなくていいのかと、おじいちゃんに聞こ〜っと!
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