第12話
今乗っているおじいちゃんの愛馬で相棒。こっちの世界でも馬は馬なんだぁ〜って思っていたのに、全然違う! 思っていた普通の馬じゃなかった。あのでっかい森グマを一撃で倒すとか! 信じられないっ! ……そんな凄い馬に乗っているの? 私?
大丈夫? 機嫌を損ねるとバリバリーってされない? 真っ黒くろけにされない? おじいちゃんの相棒がそんなことしない……していたな。森グマに一撃で倒すほどの雷撃を!
ちょっとだけ怖くなったからもう少しだけ腕の力を上げておこう……。
爆走してしばらくすると道が開けてきた。通り過ぎる木の本数も減ってきてそろそろ森を抜けるのかな? 木にぶつかるんじゃないかという心配はもうしなくて済みそうかな?
「嬢ちゃん! もうすぐ森を抜けるぞ」
あ、やっぱり抜けるんだ。予想的中だね!
「森を抜けるともう邪魔な木がないからな。一気に駆け抜けて目的地まで行ける」
そりゃそうか。森の中を駆け抜けるのはいくら慣れていても、速度が普通の道よりも出ないよね。私も乗っているし!
速度が出ていない? ……あれ? てっきり最高速度で今、移動をしていると思っていたんだけれど!?
「今よりも速くなっ……!!?」
いった〜っ!! また噛んだ! 口を開けないで、どうやっておじいちゃんと話せというのっ?! え、何? テレパシー? 無茶言うなよっ!!
「その通りだ! 今よりも速くなる。俺の相棒の走りはこんなもんじゃないからな」
そう自慢げに言うおじいちゃん。さっきので通じていたんだ。よかった!……よかったんだけれど、やっぱり速くなるの? こっちの予想は外れてほしかったな〜っ!
――時間経過――
「……嬢ちゃん、大丈夫か? もうすぐ目的地に着くが」
「いちおー」
「が、頑張ってくれ。俺の腰も頑張るからな……」
「はーい」
ワタシ、オウマニモウノラナイ。シンジャウ。アブナイ、オーケー?
できればもう、馬には乗らなくていいかなと思いました。でも、聞く限りではここの移動は馬での移動が多いみたいだし……。私、大丈夫かな?
ちょっと不安になってきちゃった……。
「あのな、嬢ちゃん。」
「ん?」
心なしか苦しそうにおじいちゃんが言う。どうしたんだろう?
「今は非常事態だからこんな速度で移動をしているが……、町中などでは流石に速度は落としているぞ?」
そうだった……。そうだよね! 今は急いでいるからこの速度なんだよね!
「だから、今みたいに力! を込めなくてもいいくらいの速度で移動ができる!」
おじいちゃん、やけに力! って強調するなぁ……。思いっきり力を込めて腰を掴んでいるからかな? ごめんね、でも落ちそうで怖いんだよ!
でも、町で移動できるくらいの速度だったら、馬での移動も良いかもね。今みたいにおじいちゃんの後ろに乗って!
草原を気持ち良く駆け抜けてみたいな〜って、テレビでやっていた競馬の馬を見てもし私が乗馬ができるならやってみたいって、思っていたんだよな〜。草原なら、1番最初にいた所にあったし。
落ち着いたら、おじいちゃんに頼んでみようかな? もちろん、相棒である馬にもちゃんとお願いをしてみよう。あの雷撃は浴びたら即死しちゃうからね!
「「…………。」」
色々と考えている間に、目的地らしき町が見えた。多分、あれが町のはず……。というのも、町らしき場所を大きな壁が囲っていて、中がどうなっているのか見ることができないんですよ。見ることはできないはずなのに、何だか不穏な気がするのは気のせい?
「やはり、何かあったみたいだな!魔法防御壁が張られている。確か、入り口はあっちのはずだ!!」
魔法防御壁って、あの壁のことかな?普段は張られていなくて、今みたいに何かあった時に発動して、張られるとか?
私たちが危惧した通り中に暴走魔野菜がいるとかかな?
「……街で使う魔法防御壁はな、外から守るのはもちろんだが内側のものを外に出さない仕掛けがされている。つまり、中に暴走魔野菜がいてもあれの外に出ることができないのは良いが、町中に留まる分、仕留めない限り減ることはないんだ」
それはつまり、入った途端ウジャウジャと暴走魔野菜がいるかもしれないってこと?ヤバくない?
おじいちゃん、そして相棒のお馬さん! 頼りにしています! 私と町のみんなを守ってください、お願いします!!
とりあえず、町に入ったらすぐに私は私の相棒を取り出そうと思います。そう、異世界に来て私が知らない間に殺傷能力を身につけてしまった、あの子を……。
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