第9話

 (皆さんこんにちは。今は口を開けれない状況なので、私の心の中から話しかけています。現在私達は森の中を爆走中です。猛スピードで森の中を爆走しています。木とかにぶつかりそうで怖っ!)


(おじいちゃんは慣れていそうですが、私は馬に乗ることも初めてでこんなに速いスピードは辛いです! ですが大急ぎなのでスピードを落とすわけにはいかず我慢です。おかしいな? おじいちゃんのお家で美味しい魔野菜を食べさせてもらうはずだったのに……)


「ギャーオ゙ォッ!!」


「!? なっ何ぃったい!」


 口の中を噛んだ〜! 痛い。それよりも急に何なの? 動物? 魔物? らしき声が急に聞こえてビックリして口を開けちゃったじゃん!

 おじいちゃんの背中に押しつけていた顔をちょっと上げて声がした方を見てみる。確か目の前でしたね、声が聞こえたのは。


「何あれっ? 動物、魔物?」


 クマみたいだけれどやっぱり私の世界とは違っている。体長も大きすぎるし、どのくらいだろう? まあ、馬に乗っているおじいちゃんよりはとても大きいよ! そして1番違うんじゃないかと思うのが、クマらしき生き物の体毛が緑色なんだよ。凄いよ! 抹茶色のクマがいるよ文代ちゃん!


「魔物だ! 森グマという。森の暴れ者と呼ばれていて、森以外にも火の付近にいる火グマや水近くにいる水グマなどたくさんの種類がいる。まあ、色で分かるだろう。見ての通り分かりやすい色をしているからな」


 凄い……。噛まずにあんなに話せるなんて! 今も爆走中なんだよ? 私なんて直ぐに噛んだのに! まだ痛いんだよ!?


 目の前にいる森グマ、どうするんだろ? 逃げ切って行……


「やれい! 相棒よ!!」


「ヒヒヒーッ゙ン゙!!」


 バリバリバリ〜ッッ! ドドーンッ!!


 ……私は今、何を見たんだ?

おじいちゃんが右手で森グマを指差して、相棒の馬にやれって言った。私には殺れって聞こえたよ? そしたら、そしたら……!


 馬の口から電撃が放たれました。私はいつの間にかに落馬をして夢でも見ているのでしょうか? 馬って、馬って口から何かを発射する動物でしたっけ?!


 森グマ、雷撃が当たって倒れたよ? 一撃ですか? そうですか。

 軽く頬をつねってみたけれど痛いだけでした。現実なんだ、馬の口から雷撃が出て大きくて強そうな森グマが一瞬で倒されたのは。


 おじいちゃんの相棒は普通の馬じゃなかったんだ。それとも、ここの世界の普通の馬がコレなの? めっちゃ怖いんだけれど……。


「良し。よくやった相棒よ! 折角だから持って帰って熊肉焼きにするか? 森グマは臭みが少なくて美味いからな!」


「ヒヒン、ヒヒーン!」


 私がモンモンと頭を悩ませている間にあの森グマの運命が決まったらしい。美味しいなら是非、私も頂こう。

 勿論魔野菜も……!?


「おじいちゃん! 急いでいたんだよね? こんな所で時間を潰しちゃダメだよ!」


「「!!」」


 ひとりと一頭がそうだったという反応をした。さすが相棒同士そっくりだよ!


「急いで出発するぞ」


 森グマは諦めて、目的地に向かうのかと思った私の考えは早々に打ち砕かれた。


「よし入った。お前さん、早く出発するぞ」


 そう。おじいちゃんが持っていた魔法の鞄にあの巨体が全部入った。マジで? 魔法の鞄……便利すぎない?


 

 

 道中で少し問題があったが何事もなかったように移動を再開した。

 


 もちろん、爆速での移動をね!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る