第3話

 結論から言うと、文代ちゃんの助けは無かった。あったらとても嬉しいが、ちょっと怖い。ひとりで異世界はキツいので、文代ちゃんも来て欲しいが。

 そんな贅沢は、願うだけ無駄だと思う私である。それよりも……。


 「いや、マジでコイツらどうしよう? さすがにきゅうり? に殺されるのはイヤすぎる!!」


 そう、いまだにやつらが私のほうへとやって来ている最中なのである。


 「きゅうりは食べるがわだったけど、ここでは私が食べられちゃうの?!」


 そうこう叫んでいるうちに、ジリジリと追い詰められてしまった。コイツら知性あるのか? 私のことをワラワラ囲みながら追い詰めてきているぞ……。これが、絶体絶命ってやつかな?

きゅうり? に使いたく無い言葉だなぁ〜!


 何か手はないかと、さっき遠目に見えた家らしき建物があった方を見てみると……。


 「やばい。え、幻覚でも見えてるの私。赤〜いヤツらも見えるんだけど」


 赤い野菜といえば! と言う質問に、誰もが答えそうなあの、赤いヤツにも手足が生えているのが私には見えてしまった。そして、こちらに向かって来ている……。


 「いやいやいやっ! 何で私の方に来るのさ! 私がとても美味しそうにでも見えているのか!?」


 もしかして、人生で初めてのモテ期かな? と現実逃避をしながら、私は逃げることにした。



 野菜(仮)にモテても嬉しくないが……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る