第18話TSっ娘と好意

「もしかしたら御陵のこと困らせるかもだけど...もし無理だったらこれっきりにするから。最後まで、聞いて」


「きょ...今日は楽しかった?」

「え?あ、うんめちゃくちゃ楽しかったけど...」

「ほんと?前来た時よりも?」

「じゃ...じゃあさ、僕とこれからもずーっと一緒にいればこういうデートができます!」

「??どういう事だ?」

「えっと、その、僕と一緒に行けばさ?友達の延長線みたいな感じで気軽に行けるかなって思って!」

「その...つまり何が言いたいかと言うと...」

風が靡く。

「これからも御陵のいちばん近くに僕を置いてくれますか」

「僕は御陵のことが...す...」

その瞬間、僕の頭の中に夏祭りでの出来事がフラッシュバックする。これでふられたら御陵とこれからあんま話せなくなっちゃうのかな...でも、早瀬さんも言ってくれてた。

「御陵はさ、あんな風に色んな女子と話してるけど、城崎ちゃんのこと一番に考えてるよ。」

そうだ...早瀬さんも言ってたから行ける...ここで伝えないと...

その時、少し曇っていた空が晴れるのが分かった。さっきまで吹いていた心地よい風もいつの間にかやんだ。僕は全てをかけてたった一つの言葉を伝える。

「御陵のことが好き」

「ずっとずっと昔から御陵のことだけが好き...」

「僕じゃまだ全然女の子っぽくないけどこれからもっと女の子らしくなる...だから...だから御陵...」

「ほかの女の子の所行かないで...」

僕は止められない涙を一生懸命堪えながら御陵に伝える。ああ、駄目じゃん...御陵に心配かけさせないために笑って言おうって思ってたのに...御陵はどう思ってるんだろう...僕は涙を拭きながら御陵を見る。そうすると、御陵が今までにないほど赤面しているのが見えた。

「えっ、城崎がお、俺の事を、す、好き?」

「待って待って...うわ、まじか、ちょっと待って、気持ちの整理がつかない...」

「や...やっぱそうだよね、ごめん...」

「あっいや!嫌とかじゃなくて...」

「お...俺も城崎のこと好きだったから...まさか城崎も俺のこと好きって思わなくて...」

...????!????えっ?!????!?!?えっ待って、御陵本当に僕のこと好きなの?!

「い...いつから...??」

「お前が女の子になってからずっとドキドキはしてたし...一緒に過ごしててなんとなくモヤモヤはしてた」

御陵は恥ずかしそうに言った。そして、御陵は胸元に僕の頭を抱き寄せる。

「ごめんな。辛い思いさせて、泣かせて。無理矢理女の子らしくなろうとしなくてもいい、他の女子と比べなくてもいい。城崎は城崎のままで居てくれれば、それでいい。」

その言葉は、御陵から本当に聞きたかった言葉のひとつだった。

「まぁ、本当に俺でもいいならこれからは「友達」じゃなくて「恋人」としてよろしくな?」

僕は無意識に御陵に抱き着いていた。

「ほんとに...?ほんとに僕なんかでいいの?」

「ふはっ、告白したの城崎なのになんで弱気になってんだよ」

「だって、最近小鳥遊さんと一緒に居ること多いし...」

「あー、あれはなんと言うか、趣味が合って、仲がいい友達っていう関係だよ」

「そうなんだ...良かったぁ...」

僕の体から力が抜ける。しかし辛うじて立てていた。

「じゃあ僕もう帰るね」

「えっ?一緒に帰ろうよ」

「御陵だって男だからわかるでしょ!僕今嬉しすぎて一緒に帰ったら色々我慢出来る自信ない!」

「え?!色々って、何?!」

俺が城崎に慌てて質問すると、

「教えなーい」

こんなにドキドキしてて内容を教えられないとこの鼓動が止まらない。

「じゃーねー」

「お、おう!気をつけて帰れよ!なんかあったら連絡しろよ!」

そうして僕たちふたりは、互いに緊張しながらも家路に向かった。僕は御陵が居ないことを確認して、公衆トイレの裏に行った。

「良かったぁ...」

僕は安心のあまり、涙がぽろぽろ流れ、その場にへたりこんでしまった。僕はやっと御陵に思いを伝えられたんだ...!

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恋愛女子 (︎︎ ♀)は元男の子(♂) ねむ @nemuchan0823

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