第13話TSっ娘と急展開

次の日

「ふぁぁぁ...生徒に準備室の掃除やらせるか普通...だめだ...完全に休み時間潰れたな...」

俺は先生に休み時間が潰れた愚痴を吐きながら教室に戻っていた。教室に入る寸前、鷺崎が慌てて俺に話しかけた。

「御陵御陵!聞いてくれよ!ビッグニュースなんだ!城崎っちが...3年の男子に告白された!」

「...え?」

俺は動揺が止まらなかった。


告白したのは渚瀬蒼弥なぎせそうや。簡潔に言おう。容姿端麗、スポーツ万能、頭脳明晰、それに加えて友達も多い。要するにスクールカーストトップ中のトップの完全無欠の男。なんか説明するだけで腹立ってきたな。こいつ。

「あいつみんなが見てる前で城崎っちに告白しててさー...すげえよな」


数十分前

「城崎さんだよね?」

「あ...はい、そうですけど」

「僕の名前は渚瀬蒼弥。ね、僕と付き合わない?」

「え?急に」

「うん、付き合って欲しいんだ」

「いや...でも僕元々男なんで...」

「知ってるよ、調べたから。元々男だとか女だとか関係ないよ。僕は『君』が好きだから」


「って城崎っちに告白してたんよー」

「...」

「御陵?」

「...いいや、何でもない...ちょっと体調悪いから保健室行ってくる」

「あ...おお、気をつけろよ」


保健室

「俺ってなんて意気地無しなんだ...城崎が急に取られそうになって勝手に塞ぎ込んで...ダサいな...俺」

「大丈夫?御陵」

急に俺の視界の半分を埋めつくしたのは城崎の上半身だった。

「あ...城崎」

正直少し気まずかった。こいつは告白された後なんだ。そう考えると少し城崎との距離が遠く感じた。「御陵...あのね?さっきの告白なんだけど...」

そう話し始める城崎を遮り俺は、

「本当だったんだ」

「え...?」

「ごめん...少し一人にさせて欲しい...」

「ご...ごめん...じゃあ僕帰るね...」

ガラガラ

俺はこれからどう城崎に接していけばいいんだろう。城崎が告白をOKしたとしたら俺と城崎の関係はどうなるんだろう。少し距離が離れていつもみたいに一緒に家で遊ぶことも無くなるんだろうか。一緒にコスメや可愛い服を買いに行く相手も、あいつになるんだろうか。そう考えるとモヤモヤして気が済まない。

「御陵〜大丈夫か?御陵らしくないじゃん」

「ああ...早瀬か...なんでここにいる」

「なーんか御陵体調悪いらしいじゃん?だからわざわざお見舞いに来てあげたってわけ。ありがたく思いな?」

「急に恩着せがましくなるな」

まったく。人が体調悪いってのにいつものノリで話すな。

「で、城崎ちゃんの事だよね?御陵が気にしてんの」

分かっていたか。早瀬は変なところで鋭い。

「...そうじゃないと言ったら嘘になる」

「御陵の気持ちも分かる。だから思い切って城崎ちゃんに伝えれば?その気持ち。もしかしたら付き合ってるかもしんないけど、どうせだったら最後に気持ち伝えてから終わらせたくない?」

そうか...そうかもな、なんだかんだ逃げてたのは俺の方だったかもしれない...

「ありがとな、早瀬。ちょっと元気出た」

「良かった良かった!それでこそいつもの御陵だ!ちょっと臆病な感じ、本調子戻ってきてるよ!」

心配し終わったかと思ったら急に格下げするのをやめろ。褒めるか貶すかどっちかに統一しろ。

「でも、城崎にお思い切って自分の気持ち少し伝えてみる。そうすれば、このモヤモヤも晴れると思う」

「うん、頑張りな!御陵!」

早瀬は意外に相談に乗るのが上手いかもしれない。

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