第12話TSっ娘と写真撮影
早瀬が俺たちを突然部室(仮)に呼び出した。ちなみに部室と言っているがただの旧校舎の空き教室である。
「例の先生からの下請け案件なんだけどさー学校新聞に載せる写真を撮って欲しいって言われたんだけどさー」
「城崎ちゃんやってみない?!?!」
「「何故?!」」
俺と城崎は声を揃えて言ってしまった。
「だってこの写真の条件にすっごく城崎ちゃん合うとおもうんだよ〜」
条件は、透明感のある写真、校舎と自然を共に撮る、それに加えて誰かモデルを校舎と共に撮る、というのが条件だった。
「じゃあ城崎、お試しだけでも撮ってみないか?まだ城崎がやるって決まったわけじゃないし...」
「わ...分かった、やってみる!」
そんな訳で写真撮影をすることになったんだが...
「...城崎、手と足を同時に出すのをやめろ...」
「だって、いざ写真を撮られるとなると緊張して同時に動いちゃって...」
「難儀な体だなぁ...」
まさかここまで緊張するとは思わなかった。...まあ、最初っからいきなり写真撮影は城崎には重すぎたか...
「よしっ、じゃあちょっと休憩して散歩でもするか!」
「えっ...いいの?」
「大丈夫大丈夫!時間あるし!」
という訳で俺と城崎は少しだけ散歩に出ることにした。
「いやー懐かしいなー!城崎と2人で一緒に学校にこうやって侵入したこともあったっけ?」
「あった!あった!懐かしいな〜それで急に雷が鳴り始めて御陵がビビって大きい声出したから先生に見つかってすごい怒られたよね〜」
「その話題は掘り返さんでいい」
にしし、と城崎がいたずらに笑う。本当に城崎は覚えがいいからこういう時に弱みを握られて困る。
「こんな感じのところに一緒ににいてさー!」
懐かしいなー、と言いながら城崎が笑いを浮かべる。俺はその瞬間に既にカメラを構えていた。城崎のありのままの姿を撮れた。
「あ!いつの間に写真撮ってるの!」
やれ、バレたか。城崎が勝手に撮った写真を見ると、
「け、結構良くない...?」
「いや、自画自賛じゃないけど、なんか普通の僕が取れてる感じがする...」
「じゃあこれにするか?」
「うん!これにする!」
ということで城崎の学校新聞に載せる写真が決まった。
「ゔあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛...」
城崎はまるで化け物を出産する時のような声を出している。どっから出てんだ、その声。
「城崎ちゃん...だいじょぶ?」
早瀬が心配の声をかける。
「大丈夫大丈夫www城崎はほんとにヤバい時はこんなもんじゃないからwww」
「なんで御陵笑ってるの!」
許せ。あまり見ない光景だ。新鮮な構図として俺の脳裏に収める。
「じゃあ今度はモデルっぽいメイクやんない?」
「それ大変なの僕じゃん〜!...まあ面白そうだけど」
「やろやろ!俺も手伝うからさ!」
「........」
勧誘部部室(仮)の前に、城崎が写っている学校新聞を見る人の影があった。
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