第5話TSっ娘と約束

ある日、城崎の家にて


「城崎どうした?悩んでる顔して」

俺は明らかに考え事があるような顔をしている城崎に向けて言った。

「んー、この体と顔になってから男物の服が着にくくてさ〜だから多少の女物の服は貰ったんだけどサイズが合わないのが多くてさ...」

女の子の姿になると意外と大変なこともあるんだな。

「だったらさ、俺と一緒に買いに行かない?俺の好みのやつ着させたいって言うのもあるけど」

「ふぇ?」

城崎が腑抜けた声を出す。俺は本当のことを言っただけなんだが。

「な...何言ってるの御陵??」

「いや、嫌だったら全然いいんだけどさ」

「全然!全然いい!一緒に行こう!僕も御陵に選んでもらいたい!」

城崎が凄いキラキラした表情で笑顔で言ってくる。ある小説のセリフを借りるなら100億万点の笑顔だ。くそ、こいつ「どうしよっかな〜、どんな服で行こうかな〜」みたいな感じですごく楽しみにしてやがる。まあ自分も楽しみなんだが。

「いやぁ〜凄い楽しみ!だって御陵と一緒に買い物に行くなんて今までやったことなかったじゃん?」

「確かにな。今までそんなことしたこと無かったしな。」

今は何とか平静を装っているが、内心心臓バクバクである。


2日後、週末の帰り道


(明日は城崎と買い物をする日だ。だいぶ楽しみである。)

そんな感じで俺は今とてもワクワクしている。城崎はどう思ってるか分からないが、俺は明日どうしようか少し前から考えている。こう見えてあまり付き合ったことは無い。だからこういうのには疎い年頃男子である。

「いやー明日楽しみだな!城崎!」

「ん?うーん...」

え?こいつあんま楽しみにしてない?まぁ...自分がただ城崎の服を選びたくて誘っただけなわけだし...しょうがない部分もあるか...。そんなことを考えてた。その瞬間に、隣にあった電柱に城崎が頭からぶつかった。ゴンッ

「城崎?!おいどうした?!」

「??」

こいつなんか寝れてない...というかなんというか。

「どうする?体調悪いなら明日休むか?」

俺が提案する。そうしたら慌てるように、

「あ、あ、明日?!明日が何?!」

ずっとその会話してただろ。まったく、集中力が足りないやつだ。そう言いながら散乱した城崎のカバンを整理すると、中から、様々な雑誌が出てきた。これは、明日行く予定のデパートの情報...

「なんでもない、ってば」

城崎が顔を赤らめて言う。やっぱこいつ、めちゃくちゃ楽しみにしてる?そんなことを考えたからか、俺はこの後めちゃめちゃソワソワした。

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