第6話TSっ娘と買い物

俺は今駅前の銅像の前で城崎を待っている。本当は城崎の家で待ち合わせだったはずだが...


今日の朝の出来事LANEにて


城崎:《駅前に10時待ち合わせね》

御陵:《え?!急に?!》

城崎:《じゃあそういうことで》

御陵:《理不尽だ》


こんなことがあった。そんな急に集合場所を変えるなんて想像してなかった。既に10時を5分ほど過ぎている。そんなことを考えていると、

「ねえ君かわいいね〜!俺たちと遊ばない?」

「え...困るんですけど」

「いいじゃんねーねー」

(こいつら話が通じない...新手の詐欺か?)

そんな勧誘を受けている城崎のところに駆け寄り、「これ、俺の連れなんで、離れてもらってもいいすか?」

「あっ...そうなんすか...すいません...」

俺はそう言い捨て、城崎の手を引っ張って少し離れたところまで連れていった。

「大丈夫か?城崎」

「う...うん。大丈夫。」

「ってか急になんで集合場所変えたんだ?」

「そ...それは...」

「なんか待ち合わせって定番じゃん?だから...やってみたいって思って...」ボソッ

たまに城崎ってなんか言ってるんだよな。何言ってんのかよく分かんないけど気にしなくてもいいだろう。

「っていうかお前、その服めっちゃ似合ってんな」

「えっ...!」

自分がシンプルに純粋な気持ちを伝えたらこれか。城崎は恐らく似合ってるとか言われるのが新鮮だからそういわれるのが苦手なんだろう。そんな顔赤らめんな。こっちまでなんか恥ずかしくなってくる。というか城崎が女の子になってからこんな気持ちになることが増えた気がする。

「ま...まあそんなこと気にしないでさ」

「行こっ!御陵!」

城崎がキラキラした笑顔で俺に言う。ドキッとした。

(やばい...なんか急に緊張してきた...)



「こんな服どうだ?城崎」

「んーいいかも!あとで試着してみよ!」

俺は今城崎とめちゃめちゃ楽しんでいる。一緒に自分の着る服も城崎の服も選んでいる。

「これいいじゃん!御陵に似合いそう!」

「まじ?この色似合うか?」

「うん!絶対似合う!ほら、試着しよ!試着!」

そうして俺らは試着室へと向かった。


「城崎...開けるぞ...」

「待って...まだ心の準備が...」

「大丈夫だ...行くぞ...」

シャアッ

「ど...どうかな...似合ってる?」

最&高。くっそ。こいつ何着ても似合う。何着ても似合うとか選ぶのが楽しいが過ぎる。1回やってみたかったんだよな〜こうやってコーディネートすんの。

「なんか気に入ったのある?買うよ」

「いいの?御陵は何にした?」

この服、とベージュの上着を見せる。そうすると、

「じゃ...じゃあこれにする」

「お!いいじゃん!でもお前この色お前好きだったっけ?」

「ま...まあ?」

そして俺は会計に足を運んだ。

「すみませーん会計お願いします!あとこのまま着てってもいいですか?」

俺が店員の人を呼ぶと、俺と城崎の服を見て、

「わー!彼氏さんと彼女さんと服の色合わせたんですね!とってもお似合いですよ!」

店員がそんなことを言い出した。慌てて城崎の方を見ると、

「ぐ...偶然に決まってんじゃん!すっごく偶然!」

「青春ね〜♡」

店員は少しやばい人かもしれない。


数時間...

「「疲れた〜!」」

「結構歩いたからな...」

「僕途中で人混みに流されて大変だったよ...」

「ああ笑あの時100mくらい流されてたもんな笑」

「...うるさい」

とはいえとても楽しかった。城崎と買い物をしたのも初めてだし、こんなに盛りあがったのも初めてだった。

「あっ、そうだこれ」

「え?」

そうして俺は可愛らしいピンクと水色のポーチを差し出す。

「なんか城崎に買おうと思ってさ、コスメが好きって言ってたけど俺よくわかんないからとりあえず

こういうポーチとかならいいかなって思って」

「一応城崎が好きそうな色とか柄選んだつもりだけど好みに合わなかったらごめんな」

「ううん、ありがと...大切にする!」

そんな大層なもんじゃないんだけどな...

「でも僕、こうやって女の子として買い物したりするのも結構楽しかったかも!」

「...でも、僕だけじゃまだ全然可愛くなれないし、御陵が一緒に服選んでくれないと似合うコーデも選ぶことが出来ないから...」


「これからも僕と一緒にいて、かわいい服選んだり一緒に遊んだりしてくれる?」

それは城崎のここらからの懇願だった。そんな真剣な願いを無下にする訳にも行かないだろう。自分も、そんなことは望んでない。

「当たり前だろ。これからもガンガンかわいい服着せてやるっつうの」

「ふふっ...」

「ありがと」

そう言って、城崎は100億万点の笑顔を俺に向けた。

「ほらっ、御陵?早く帰ろ?」

「わっ...分かってる」

俺はどうかしてしまったのだろうか。

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