contact15―煙月3―
一体どんな動力でなっているんだ。
神話のような舞いだけで魔法陣は緩やかに、回りながら垂直で降りていく。
座ったまま
「クッション!」
「言語が違くとも生理現象のクシャミとかは共通」
「んっ?」
魔法陣を昇降機とした中心のルリアンナ。左足を大きく上げて回っていた動作を止めて一瞬こちらを一瞥するが単なる独白と思ったもよう。
建物の上から大きく
寒いほどだった夜風が高度が下がってから落ち着いていき空中パノラマは終わる。
ゆっくり
「ふっー。ハァー」
周期的な動きの調子になって肩で息をしていた。
ずっと回ったりジャンプなど激しい動きとは言えないものの長時間も踊り続ければ披露する。
ここまで疲労を隠せないほどルリアンナがわざわざ顔見知り程度しかないオレなんかのために空を見せるわけが無い。
「そうだったら良かったんだけどなあ。
ようやく楽観主義者に調子に戻りつつあるオレでも
意味があってやっているのは理解している。
なんのためにやったんだ」
「サーラビ」
「おーけー。言葉は通じないの分かって質問しちゃった。いろいろとあった空中からの絶景は楽しめなかったけど新鮮な気持ちになれて楽しかった。
それで夕食オレと……食べないか?」
「ライヤム、クォグラィイヤ!」
「ありがたく、いただこう?かな。
とりあえず前向きな肯定と受け取らせてもらう」
コンビニで買ってきた弁当を袋から取り出す。
あまねいて言葉を伝達しなくとも行動でなら案外にも意図など伝わるものらしい。
コンビニ弁当を目にすると迷惑そうな態度から一変して微笑んで首肯するルリアンナ。
なんていうべき食いつき。
なんというか現金だな。
お互い腰を下ろして食事を取ることに。
「いた……いただきます」
「イィヤタダギス」
「もしかしてルリアンナ!?それオレを真似って言おうとしていたのか……いただきますって……」
見ようみ真似で手を合わせたからこそ発音が解読できなくともルリアンナも日本の作法を溶け込もうとしている。
そうでなくともオレは嬉しい。
崩れて曲がっている柱をベンチにするオレ、で対面するかのような位置についたルリアンナは上が破壊された壁の成れの果てを座っていた。
「グゥゥッーー!?」
「うおぉっ。びっくりした……なんで!どうして!犬みたいな鳴き声をするんですかね!?」
不器用ながらも箸を操る。
はたから見れば箸文化のない外国人のそれ。
「ぐっ…………」
「手でつかんで食べるな、食べるな。
こうやってつかんで食うんだよ。ほらオレの手をよく見て、やってみ」
手を拝借して教えるのも手っ取り早い。が恋に繋がているならともかく顔見知り程度の異性にそれをすれば友好から敵視するだろう。
見よう見まね、拙かったけど数分間もかからず。
震えながら持つ箸に笑いを催そうになるのを堪えながら様子を眺める。
「くっ」
「アジア圏内を中心に箸文化だったなぁ。
最初は複雑そうでも慣れると簡単。ただ時間が掛かるのがネックだけで……。ハハッ、伝わらないか」
ルリアンナは若いから目にした情報だけで同じように反応させ働かせる能力は高い。
及第点をあげたいほど上手くなる。
しかしオレならこんなに再現できるか?ルリアンナの若い特権というか柔軟性だけではなく気性的なものだろうか。
日本人らしいドワーフなことで。
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