contact9―異世界から召喚されたら先ず言語に直面するだろうね5―

前にSNSで自己表現した事がある。

イイネは少なく表現者として活動は諦めた。

だがその経験を用いて言語の壁を越えようとコミニュケーションを試みた。

けど手や顔で表情を伝えようとしても意外にも通じないものだと痛感させられた。

あまりにもかんばしくない成果。

今日は、おとなしく退いた。

また明日でも言語が無くても取れる手段をつかむために。

――翌日。


「あれだけ張り切って挑んだのに……失敗してから眠りが浅くなった」


静寂な道は夕焼けに染まっている。

廃ビルに向かう道中。

歩きながらスマホを弄りながら気分転換に有名人や

アニメの製作者や好きな作者の呟きを見ても心は

うるおわない。

渇きにえる。


(それに合わせて今日は肩や目が疲れている……。

あまり身体を休めていないからか?)


帰ってからパソコンを向かい合い、床に就てもスマホを指を動かし続けた。

ずっと糸口を求めて。

でもこんなの続けても異常な出来事に対処する最適な望むものはあるはずが無い。それでも足掻くのは

ルリアンナに引き寄せられる未知な働きがある。

それに心を引きつられる未知を自覚しながら正体を表面化にしてハッキリさせたい。


「休みたいけど悠長に出来ないのはルリアンナも

同じなはず。

いつまでも住み着いていられる保証なんて誰もしていない。

いつか別れる。

オレが倒れる前にどうにしかしないと」


オレは深海ごとき好奇心に呑まれている。

ここから脱出するためにもルリアンナを助けてオレの不安定さを正常にする。

――この日はビル内にはいなかった。

華奢なドワーフのルリアンナの姿を見たのは会社の

敷地内だった。

敷地内の出入りからビルの正門までの続く道から

左の位置に彼女は舞っていた。

そう踊っていたのだ。


「……ハアっ!」


(異世界の言語でなにを言っているのか伝わらないものだけど掛け声とかは異世界でも共通なのか)


とても可憐で神々しい。

楽器や音楽器具さえもない静かな夕陽の下で。

さながら妖精。神秘的な舞姿まいすがたを見紛うほどに美しく圧倒させられた。


「のあっ!」


「……けど、ときどき気が抜ける気合いとか出すんだよなあ」


余計なツッコミをしながら終わるまで見続ける。

見蕩れている。

それは神聖な存在感まで昇華させて至るまであるものの分野を極めんとする狂人的な努力さえもルリアンナが垣間見る。


「「……………」」


どこか狂うような美しく踊りが終わるとルリアンナは腕で汗を拭いながら佇んでいるオレに一瞥いちべつする。


「ヨシナオ、ノオイカイ」


「なんか昨日も聞いたようなセリフ。

とりあえずルリアンナこんばんは」


「ラーク、シアマ!」


「あっ。これは知っているぞ。

魔術師の飴玉を使う前になんども連呼していた。

これは出ていけってことか」


「ラーク、シアマ」


出入り口を指を指して追い出そうとする。

取り付く島がない。


「おとなしく回れ右するつもりは無い。

少し粘らせてもらうぞ。

せっかく来たんだから談笑でもしないかドワーフ」


「……ハァッ。ノオイカイ」


すぐには踵を返さないことに悟ったようで

ルリアンナは、脱力しながらも対話を聞いてくれる姿勢になった。

米国人よろしく喋りながら手をジェスチャーの動かすのだった。

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