contact8―異世界から召喚されたら先ず言語に直面するだろうね4―

夕映えは燃えるような暗い赤。

照り返して眩しい光のビル。

廃れていた建物を見上げて呼吸を整えてからオレは無人となった中へと入る。

人間とはよく似たドワーフ。

その種族と違う生命体。

まったく実感はしないが客観的に見てみればルリアンナはオレ達とは違う。


「そこを認識して挑まないと。

何か話せばいいか具体的には何も無い。

手詰まりなのは悪手だな」


無意識から頼ろうとする彼女を手を差し伸べることを決意に燃やして迅速に動いた。

邪魔にならないか。

本来こんなの干渉かんしょうするべきはオレではあるべきでは無いと脳裏に過ぎる。


「いや弱気になったら前進しない。とりあえずは

話を聞いて帰ることだけ小さな目標にして」


ずっと後ろ向きに思索を繰り返している。

大きな目標ではなく小さな目的に変えてみれば苦慮を続けていたものが薄れていた。

進みながらスマホで外国人と共通の話題とかを検索をしては嘆息。

ほぼ未知という意味なら異世界は、こちらからしたら外国の地と相似点のようにある。


「でもヒントになれそうにない」


こうなれば直接ぶつけるしかないか。

無作為ではあるけど、真摯と友好を雰囲気を纏っていけば成せぬ事は無い。

向き合うことしか今のところ有効だって信じて。

とうとう着いたものの食堂室に居るのだろうか。


「ここには居ないか。どこに行ったんだ?」


いない。

案内用のロボットが出迎えてくれてがオレは丁重に断ってからルリアンナを探しに歩き回る。

壁がおおきく開いた穴から降り注がれる夕陽も夜に近づこうとしている。

すこし、急いだほうがよさそうだ。

ほとんどのフロアを探しても音の気配さえも聞こえない。ここまで音がしないとなると屋上に行っているのではないかと考えて階段を駆け上がっていく。

さすがにスマホはカバンに仕舞わないと転ぶ。

瓦礫が道を塞がっているのもあり遠回り。

屋上まで行ったこと無かったが、どうも崩れて無くなっている。

最上階。


「まだ、それほど経っていないはずなんだが……

どうすればこんなにもボロボロになるんだ?」


見えてきた最後の段。速度を落とさずに階段ステアーズを上がり切った疲れで手を膝について乱れた息を整える。

ルリアンナをいないか顔を上げたら酷く崩れていたこと。

腐敗するにしてもこんなになるものか。

不自然なのは階段の辺りは崩れた跡がないのと比べて。向かいの室内は壁が失っていた。


「ここだけが無事で、あっちは半壊状態。

これは作為的なものか」


誰かが壊したのだろう。

おそらく人工物をこうまで壊せるだけの破壊力を

有した人物をオレは見当がついた。


「やはりここにいましたか。

ルリアンナ……さん、、


「ッ――!?ヨシ……ナオ……」


沈んでいく陽を眺めるため壊したのだろうか。

空き通しがよくなった向かいに彼女はいた。

パイプの破片。成れの果てとなった瓦礫。

腰掛けて振り返られたルリアンナは言葉を失うほど驚いていた。

咎めるような視線を浴びながらも足を進める。

おもむろに進みながら。

ゆっくり近づく間に互いに目は逸らさずに。

日がそれほど経っていない中で第一声は、ベストでクールなやり方とは程遠いもの。


「やっぱり、ここは無難に挨拶からだな。

こんばんはルリアンナ」


「ヤヤデモディ?ンカラタラバ」


「……はぁっ?」


「ノシカア、グリビラサイ、クナオティ」


「どういうことだ!なにを言っているか全然分からなねぇ……おいおい、言葉が通じないだと。

そうか!もう魔術の飴玉が切れたからか」


「ノオイカイ」


ルリアンナは何かを伝えようと叫んでいる。

必死に。

けど海外の歌にしか聞こえない。

伝わらないと方を落として。

言語の壁となって会話が困難。

彼女も嘆いていることは理解した。

小さな目的を達成することを決めたけどそれは大きな目標へと変わる。

言葉が伝わらない。

さっそく行き詰まることになった。

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