contact3―奇しき巡り合わせ3―
恐怖。
変わることに対して。
こんなにも消極的なのは理由でありそれは原因。
目まぐるしく変わっていく生活の
何も、かもが未知の高校。
リセットした気持ちだった。
「……自分が変わるまでの余裕はない。
これでも必死なんだから」
「必死って?なにがあるのか義直。
スマホ見ながらブツブツ言っているけど」
心配して
しばらく疎遠気味でいた。その態度はいつもと同じく懇意のある接していた。
「いや、何でもない。
もうオレ達これで会うの最後にしないか」
「マジでいきなりどうした義直。
そんな最後なんて勝手に言われても戸惑うぞ」
「オレは苦手なんだ。オマエのこと……少し」
「はは、こう面と言われると傷つくなぁ。
ああ!なんとなく知っていた。
苦手のようにボクも少し苦手意識はあった」
うまく態度には出さなかっただけできっと感情の機微を読んで気づいたのか。
まあ、人の感情は感性を。するように
なら逆も然り。
「それなら。この怖さ半分の見に終えたら。
それで関係は終了しよう」
「けれど少しだけ……苦手なんだよ。
良い奴だって知っているし」
「そんなことは」
「面白いとも思っている。
なにがそこまで悲観するか知らないけど。もっと、こう前向きにならないといけないじゃないか」
「そう
「えっ?あ、……ごめん」
「どうして謝るんだよ。
責めていない。つまり……分かるだろ。
別々の学校に歩んで。妙な壁が挟んだらズルズルとなって。これなんだ」
「………………ああ」
ここからはもっと疎遠になるだろう。
連絡も寄越すことなんてなくなり。遊んだことあると記憶に残るだけに留まる。
もう友達としての期間が終わろうとしている。
リア充には暗い気持ちにさせて心苦しいが泣いて別れるには少し大人になった。
「なんか言い過ぎた。ごめんなぁ輝政」
いつの間にか間に挟んでいた妙な壁が行く手を阻んで
「いや、謝ることなんて無いんだ。
成長した証なんだから。きっと……
終わったと宣告したけどいつか遊びに誘う。
それと歩きスマホは良くないぞ」
「う、うるさいなぁ。
大丈夫だよ。マルチタスクは得意なんだ」
「そうか?危うく自転車にぶつかりそうになるのもボクが助けなかったらどうなっていたか」
悪いとは思っている。
変わることにここまで拒んでいるのも輝政達から送ることなくなった言葉やラインのメッセージ。
ひとつ、ひとつ環境の変化で悪化していている。
その環境に否が応でも、嫌な方向へと変わる自分がいて前向きにはなれない。
地元とはいえ普段は歩かないコースに地図アプリを開きながら進むこと数十分。
目的地のロボット開発の会社にたどり着く。
出入り口にある門に飾られているオシャレな看板。
こう書かれている〖スウィフト株式会社〗っと。
「スウィフト会社か……あまり聞きなれない。
高校生だからそうだけど。
それで明らかになにか作っている後ろ姿の政宗くんは何をしているんだ?」
「さあ?おーいまた何か料理でも作っているのか」
先頭に歩いている政宗くんと清正の二人。
隣にいるから訊いてみれば大方なにか予想がついている様子。
欧米人みたいな肩を竦めてみせると両手を口元に覆い尋ねる。
「決まっておろう。
餅を加熱しようとしても火は使えないネックを大福にして。
潰した枝豆を上にかける自己流の
身をひるがえして自慢気に述べる。
疑問には不敵な笑みと共に返しているけれど根本的にそこじゃなく。
いや、どうして今それを作る必要性とかあるのか?そこが分からんのだが……。
「いつもの発症なんだよ。慣れてくれ」
どう説明するかも手に負えず放り投げているぞ。
ニヒルな笑みをうかべて輝政は諦めた顔で俺の肩の上に手を置く。
「そ、そうなのか」
ここへ突入するわけか。
それよりもボウルにある豆をすりこぎ棒で粉砕する音うるさい。
血が騒いだのか熊本清正が突然ビルへと走り出す。
「肝試しだ。今からあそこへ突入してオバケがいふか真相を確かめる!」
「お、おいっ!クソっ、ずんだもち作りながらは
追いつけるのは厳しいぞ」
なら中断すれば?とはオレと輝政は思ったけど決してツッコミはしなかった。
――外は暗闇に包まれている。
清正はスマホの機能にあるライトをオンにして前に進む。
中へと無断で入ることになるがもう誰もいない。
放置してから何年も経過しているのが
それに一部は崩れて鉄骨が
「は、はは。
なんだオバケなんていねぇじゃねェか。なら引き返して帰るとするか」
「もう引き返す?おいおい怖いのか清正」
「なんだとっ!?仙台政宗ちいさいクセに偉そうに……これぐらい怖くなんかねェ」
「そうこなくちゃ」
先程まで一番乗りとかで争っていた政宗くんはもう飽きたらしく。
刺激するような言葉をかけて料理に専念する。
進むごとに廃棄処分されず放置されて横倒れるロボットの残骸。形は保っているものもあれば解体されたものまである。
「あの二人トラブルメーカーすぎる」
「あ、あはは……壊れたパーツが散らばっているから足元を気をつけないとなぁ」
そこには同意見らしく否定せず散らばっている機械類を踏んでは避けて進んでいく。
すると政宗は反転してこちらに小走りで近づく。
「ああ。もし転んだりしたら料理がダメになるからなぁ。
よし火も使わないで出来上がった。ほら受け取れ」
出来上がったよ
火を使わずに大福を使うことで外でも作れるように工夫されたモノを差し出してきた。
「あ、ああ。どうも」
「うん。ありがとう」
貰っていいのか迷っている横で、なんの動揺もせず短いお礼を言ってから受け取った輝政。
ならオレも受け取っておくか。
「でも今は空腹じゃないから後で食べるかな」
「ん?そうか。なら袋に包んでおくか……ほらよ」
料理には余念がなさすぎるぞ政宗くん。
ポケットに放り込んで移動していき廃棄物となったものを写真を撮っていき進む。
あれだけ怖がっておきながら頭が熱なって突出した清正が見えてきたのは奥の扉だった。
「遅いぞ。
揃ったなぁ。ドアを開けて入るぞ…………はっ!」
わざわざ恐怖に打ち勝とうと気合い出さない。
帰ろうと提案すればいいのに。
「うおぉーッ。スゴイ!ここは資料室みたいだな。
凄い
スゴぉー!お、おいアレがあるのって幻のプロジェクト……
これは凄いぞ」
なにかがそうさせるのか。
集団を目付け役にいる輝政は高揚して言葉がいつもよりも速かった。
無邪気にさせるだけの宝があったのか歓喜に震えるものがあるのか。
「「「……」」」
あまり知らない輝政の一面に呆気に取られる。
彼は長テーブルを頬撫でをしているが見なかったことにして探索をする。
「見たところ真ん中に壁の四方ギッシリと資料の棚で置かれているなあ。所狭しと」
あの熱意ほどは持ち合わせていないが、開発に取り掛かっていた内容を閲覧なんて滅多にできない。
手近なファイルを抜いて開いても専門用語が多くて知識不足で、お手上げだ。
元の位置に戻す。
さて立ち去るなり進むにしろ輝政はどうするか。
考えていると近づく足音が。こちらによどみなく聞こえて振り返ると清正だった。
「ただの廃れていた企業だと甘くみてはいたが……
なかなかどうして。どれも目を見張るものがある。
そうは思わないか義直」
「そう、なのか」
なんだろう。この面子の中では頭がいいって事を自負していたが目を見張ると判別できるのか。
「まあ俺もこういう分野が明るいから引いてしまうよなぁ。
それじゃあ学校は楽しいか?」
「なんだよ急に。おっとスマホをいじるぞ」
SNSで投稿していた評価が気になりスマホを触る。
すぐチェックしないと気になって仕方ない。
やや気分を害したかなと尻目を向けると苦笑をこぼしているだけだった。
「ほら北海道って広いから……ああ、なんて言えばいいのか」
「無理して言語化しなくていいぞ」
「ああ。
義直がいる東の奥にあるし俺がいる所だと遠いからクラスメイト頃と違って気軽には会えないし。
それによ。
お前だけ進学校を合格したから孤立しやすいから気になるんだよ」
地元にある偏差値の高いところへ挑んでみようかなと軽い気持ちがまさか合格した。
電車を利用しなくとも良い学校が近くあったからもあり。どうせ高校入学はもう訪れないなら進学校というもの知りたくて。
「なんで心配するんだよ。
そんなに悪くないし気が合う奴はいくらでもいる。
アイリスもいるしなぁ。
オマエの方はどうなんだ」
「普通かな。
無理して友達の輪を固める必要なくて楽かな。
いつもは楽しくはないけど、面白い授業がときどきあって楽しい程度には」
「ふーん。それなり馴染んでいるんだな」
不良や虎が相手であっても屈せず戦うような勇ましい清正は感傷的になったりすることもあるらしい。
高身長のくせにセンチメンタルだ。
いや身長は関係なかったなぁ。うん。
「おーい、次に行こうぜ。次は七階にゴー」
もう満足したらしく姫路輝政はまだ探索は続けるつもりらしい。
手を振って早く来いよと伝えると本人は真っ先に奥へと進んでいく。
「うへぇー。まだ行くのかよ」
他の料理に取りかかる仙台政宗も後に続いていく。
清正と顔を合わせて乾いた笑いを交わす。
これ発案した輝政とことん付き合わないと帰れそうにはない。
オレたちも階段を上がっていき七階へのフロアに着いて先を進む。
「先に行っているぞ」
先行した輝政の声が響いていく。
もう政宗くんの姿も見えない。「ああ好きにしろ」と返事をするが声が届いていないのか返事はない。
開いたドアに近づくと奥には何も見えず見えるのは暗い闇が
比喩ではなく先の景色がこう漆黒に塗り潰されていることにオレは驚いた。
「なんだ、あの黒いのは……うわぁッ。
こっちに流れてくるぞ」
「え、
煙幕にしては濃い黒いモヤが押し寄せてくる。
とっさに手を顔に覆わせて守るが。
痛覚や不快めいたものは襲ってこない。
右を向いたら奥の景色は黒で覆われてしまい半分以上は見えない。
後ろも似たような景色に混乱しては戦慄がはしる。
「これはヤバそうだな。逃げるぞ清正」
「いや、まだ奥に輝政と政宗が残っている。
放ってはおけない」
「「うわああぁぁぁーーっ!?」」
「「ッ――!!」」
全開したドアの奥から二人の叫び声が聞こえた。
しばらくすると輪郭が薄らと見えてくる。
次第に輪郭は政宗くんだと分かる。
「ヒイィィィンーーッ!!」
軽妙な悲鳴だった。
彼はオレたちを横切り一目散と逃げていく。
あとから遅れて姫路輝政もこちらに走る。
こちらに気づいて通過せず足を止める。
顔を真っ青だった。
「で、出たんだ」
「出たって何が?」
「幽霊が」
「ゆ、幽霊だって?」
こんなにも取り乱すのは何か訊いてみると創作にしかいない産物を口にした。
慌てている様子から信じたいところだけど、それを信じるにはいささか鵜呑みにはできない。
疑って、そうこうしていると闇の奥からユラユラと揺れて姿を現すロープをした幽霊が……あれ、いたんだ。
「うわあぁぁっ!?くっ、こうならば戦うまで。
……われ、低身長にして武功あり。知る人ぞ知る!
背の高きが優遇とせず」
袖を捲し上げると腹をくくって拳をあげる輝政。
戦おうとする姿勢を構えたファイテングポーズ。
この行動には全身をロープで包む幽霊も警戒する。
「な、なあ逃げないか」
「義直の言う通りだ。
もういい輝政!
ここは得体の知れない奴と戦うのは危険すぎる。ここを逃げるぞ」
「あ、ああ」
ここは逃げようと俺は提言。
清正は肯定して戦おうとする輝政の手をつかんで引っ張っていくのを払わず、それに従う。
おもむろに。動きは遅いらしく追ってくる幽霊。
危機感にあって心臓がうるさく息がいつもより取り乱していく。
「あっ」
オレは落ちている部品に足が引っかかり転倒。
床に正面から転んで痛い。が、それどころではなく
手足をついたまま振り返る。
「ギ……ギィギギギギ」
「ッ!?」
恐怖のあまり叫び声あげれない悲鳴。
顔を歪んだ白い顔をしている。
紛うことなき幽霊だ!
は、はやく……ここから立って逃げないと
「こ、こんな機会ないし。スマホでこれを撮ろう」
「ギギ……なにっ!」
足元に落ちているスマホを拾い上げて写真を撮ろうとするが幽霊が手を伸ばされて没収される。
も、もう触れる距離だ。
でも腰が抜けてしまい立ちそうにはない。
助けを求めようと後ろには輝政と清正はオレがいないこと気づかないまま逃走。
「ギギ、ギギギィ」
頼りない足取りで幽霊はオレを見下ろして観察すると興味が逸れたのか手を下すことなく立ち去ろうとする。
良かった……安堵の息を吐く。
追おうとする幽霊の後ろ姿を見つめていると足を滑らせて転び出す。
「ひゃあんッ!?」
「あっ!えっ幽霊も転んだりするの」
底から響き渡るような濁った声ではあるけど、
どこか女性めいた悲鳴で愛嬌のあるボイスだった。
転んだ原因をよくよく見てみると、政宗くん手作りの
どうやら後で食べようとしてポケットしまい転落した衝撃で外に落ちてしまい袋にある中も連鎖するように飛び出していた。
それを踏むとは幽霊はあまりも運が悪いのかオレが幸運か。
ややあって。幽霊はゆっくりと立ち上がりロープを払う。
「「………………」」
あの恐怖はどこかへと散り、緊張感がなくなる。
今は居た堪れない視線を交わす。
もうどうすればいいのよコレは。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
「ギィギギィィ」
「その、それは演出ですよね。実は普通に人語とか出てしましたよね」
「…………奥に進むか少年よ」
「えっ。たぶん」
やや渋い初老らしき声の幽霊は腕を組みはじめると対応どうするか考えをめぐらす。
「……コレ」
腕を伸ばして
貰っていいのかな?
おそる、おそるっと受け取る。
「うーん。なんで飴玉?」
「…………」
なにも告げず、渡すと幽霊はその場を後にした。
しばらくすると黒い霧が晴れていき景色は無骨な
廃ビル内部へと戻る。
「そ、そうだ。スマホ!」
手元にないと落ち着かない。
すると床を物体が滑らせて靴に当たって止まる。
「スマホは返してくれるのか」
これは現実なのかと頭を抱えたまま脅威がなくなりオレはゆっくり立ち上がり、そのまま奥へと進む。
この奥に何かあるのは。
検討もつかないが認められていて入ること許されたことは間違いないはずだ……たぶん。
友人を呼びに行こうにも幽霊と接触する勇気が情けないことにない。
「輝政たち良い奴だった、ごめんよ。
隠そうとしていたのが食堂室にあるのか」
ドアをくぐり抜けて踏み込んだのは大したことの無い食堂する場所。
おそらく倒産が決まるまではここで社員が食べていたのだろう。
今やテーブルさえも一部は回収されて、まばらに置いているだけ。
『いィィ……らっしゃいま……セェ』
入って付近にある物が壊れていだと思っていたロボットが動き出した。
「音声がかろうじてのロボットか」
『ご……ご案内……しま、シマ……します』
「ああ。頼む」
もしかしたら何か手がかりあるかもしれないと期待して遅々たる動きのロボット後をついていく。
なかなかスペースのある。
奥へと進んでロボットが進行を止めるとオレはその先にある目をして言葉を失う。
「スゥ……スゥー……」
「なんて、可愛いんだ」
半壊した柱にもたれて寝息を立てている燃えるような赤い長い髪。
ファンタジーな派手やかな踊り子の衣装。
うら若き女の子がこんな所で何をしているのか。
疑問がよぎりながらもオレは目を奪われた。
近づくのも恐れ多くて。
まさか現世を離れた美貌の美少女が座り込んだまま眠り込んでいるとは想像もつかなかった。
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