Ep.3 人見知り魔法使いの友達
第22話 緊張
…………うん。
少女は、僕と
だとしたら、普通に
まずは、精神ケアから始めてみよう。
「何か、
「わ、私は、一緒に死ねる相手が欲しいんです……!」
「…………」
狂っているな。
「
「も、もちろん……! 簡単に命を捨てようなんて、私は考えていないですよ!」
「…………」
どの口が言っているのだろうか?
一緒に死んでくださいと言った
意味が分からないのだった。
「あの、すみません」
「な、何ですか?」
「一緒に死んでくださいとは、どういう意味の言葉なのでしょうか?」
「そ、それは」
「それは?」
「は、
「…………」
つまり、
…………。
いや、なんでだ?
何を伝えたくて、
想像が
少女は、口を開ける。
「そ、その……つまりですね。少しストレートに近づけて言うとです」
「はい」
何だろうか?
「一緒に、
「……どういうことですか?」
なぜ、
この子は、僕を
もしかしたら、ヤバい思考を持つ人なのかもしれない。
命は、最終的に死ぬのだから、
「また別の表現で言うと、一緒に
「
やはり、何が言いたいのか予想もつかない。
頭のネジが
そう思えるくらいに、この少女はヤバめの性格をしているとしか、今のところは考えられなかった。
「その……
「す、ストレートに言わないと、分かりにくいですか?」
「そうですね。今のところ、僕には分かりきれないです」
「そ、そうですか」
僕は、もう一度聞いた。
「あなたは、僕に何を伝えたいのでしょうか?」
「それは、ですね……」
「はい……それは?」
「つ、つまりですね」
「つまり?」
「ああ……」
「…………」
「いお……」
「……?」
「あ、ああいおおおあいいあうえうえあえんあっ!」
「……!?」
彼女は、言った。
「
「…………」
――いや、どこが?
『あ
もしかして、この
いや、それは僕のこととも言えるが。
とにかくだ。彼女の、僕に言いたいメッセージは、
「ということで、私と友達になってくれませんか?」
と、いきなり彼女は言う。
「…………友達?」
「……………………あ」
彼女は、
「また、ストレートに言ってしまいました……!」
「…………ストレート?」
「はい。私は、あなたと友達になりたいんです……!」
つまり、あれか?
彼女は、僕と友達になりたくて、話しかけてきて、その
…………。
なんでやねん。
あの、『あ行』と『ん』の文字で組み合わされた言葉は、緊張によるものなのか……。
「わ、私と友達になるのは……
「…………」
なぜ、僕みたいな人間と
まあ見た感じ、悪い少女ではなさそうだし、別に良いかと思う。
「僕でよろしければ、友達になっても良いですが」
「ほ、本当ですか……!?」
「本当です」
「う……」
「う……?」
「
「…………!?」
彼女は、泣き始めた。
指で、
僕は、そんな少女の様子に、
「なぜ、泣いているんですか?」
「うれし泣き、というものが、この世にはあるんです……!」
「それは、知っていますが」
「嬉しいと、涙が流れてくるんです……! 初めての友達……! 私も、
陽キャラの
……いや、その
しかし、友達一人で
少女は、うれし泣きを
「
「…………」
どこからどう見ても、そうである。
「友達になってください――と伝えることが、なかなか
「……
「そ、そうなんです! 失敗したら、私、死ぬしかないなって」
――そうはならない。
「なぜ、友人作りに失敗したら、死が
「死なないと、
「それは……すごい考え方ですね」
「心の
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