17.通りすがりのマダムに親切にしたこと
みなさま、ごきげんよう。
今日の昼に投稿した現代ドラマ短編「私の中のダイヤル」を読み返して、自分が書いたのに何だかブルーな気分になっている祐里です。
今回は、通りすがりのマダムとのお話ですね。
2つあるんですよ。
1つ目。
10年くらい前の、寒い時期の話です。
仕事帰り、ターミナル駅を目指していつものように歩いていたら、重そうな荷物を持ったマダムに話しかけられました。
「眼科に行きたいんだけど……」と。
よく聞いてみたらそれほど遠くはないビルの眼科で、徒歩3~4分で行けそうだったんですが、何せ重そうな荷物だし小柄でお年を召した女性だし、ということで荷物をお持ちして眼科のあるビルまで一緒に行くことにしました。
マダムはニコニコしながら、ビルまでの道中、いろいろな話をしてくれました。
実はシンガポールから帰ってきたばかりで道なんて忘れちゃったのよー、ここらへんもいろいろ変わってるしねー、とか、そんなことを。
ですよねー、人も多いしわかりづらいですしねー、なんて話しながらビルに到着して、眼科のあるフロアに行くエレベータのボタンを押してあげました。
そうしたらマダムは、重そうな荷物に入っていたものをごそごそと取り出して、私に渡そうとしました。
「食べて! おいしいから!」
「いえいえ、そんなつもりでは」
「いいのよ! おいしいわよ!」
「いいんですか……!? わーい、ありがとうございます!」
1回は断るのが様式美というものですよね。
ちなみに実際にはもっと大きく喜びました。
ええ、そうです、カクヨムやXでもそうですが、リアルでも私はうれしい時はうれしいと思い切り言うタイプです。
で、ちょっと重いビニール袋を中身が何だかわからないままいただき、一人暮らしの家に帰って冷えた台所で確認しました。
ちょっと大きめの焼き芋2個でした。
マダム、ありがとう! 本当にありがとう!
早速1個をオーブントースターで温めて食べました。
甘くて、すっごくおいしかったです。
あれはうれしかったなぁ。
2つ目。
6年くらい前の話です。
友達と食事するためにターミナル駅に行った私は、待ち合わせ時刻までちょっと時間があったので、地下街をうろうろしていました。
しばらく行っていないので今はどうだかわかりませんが、当時はおしゃれなスイーツのお店がたくさん入っているコーナーがあったので、そこを中心に。
そんな時、唐突に「そういえば1000円札がお財布に入っていない! 会計時に困るかもしれない!」と気付き、万札崩すなら夫が好きななめらかプリンでも買っていってやるかーと、パステルのコーナーに行きました。
そうです、小さな冷蔵ガラスケースにプリンが置かれているパステルです。
何せケースが小さいものだから、先にお客さんがいるとちょっと見づらい。
既にマダムが一人ケース前にお立ちになっていたので、私は横から覗き込むように見てしまいました。
お行儀悪くてごめんなさい。
そうしたらマダム、「あっ、ごめんなさいね」なんて謝ってくれました。
こちらも「あ、いえいえ、すみません」なんて言って、しばらく二人でケース前にぼんやり立っていました。
何故ならマダムが買った数が半端なく多くて、店員さんの袋詰めに時間がかかっていたから。
私はまだ時間もあったし、まあいいかーと思いながらぼやーんと見ていたのですが、マダムが「ごめんなさいね、数が多くて」なんて話しかけてきてくれて、世間話が始まりました。
そして、マダム「タクシーで帰るんだけど、持っていくの大変だから何度か取りに来ていい?」と店員さんに。
店員さん、そりゃもう必死に袋詰め中。その問いに答えられないくらいw
そこで私が「あ、時間あるんで、一緒に持っていきますよ」と提案してみました。
「いいの!? でも悪いわよ、重いから!」
「平気ですよ、あれくらい。タクシー乗り場すぐそこじゃないですか、大丈夫です」
「本当に!? じゃあお願いしちゃうわね!」
「いいですよー、一緒に行きましょう。あ、でもすみません、自分の買いたいのでちょっと待っててください」
そんな会話をして、やっと自分の番が回ってきたのでなめらかプリンを2個買いました。
そしたらマダム、「私が払うわ!」とおっしゃる。
「いえいえ! そんなわけには!」
1回は断るのが様式美というものですよね。
この時はめちゃくちゃびっくりしたので、様式美とか考えていませんでしたがw
「もっと高いのでもいいのよ!(私が買ったのは一番安いモノだった)」
「ああ、いや、これがいいんです。……えっと、じゃあ、お言葉に甘えて……ありがとうございます!」
「いいのよー! こちらこそありがとうね! あなた親切ねー!」
というような感じで自分のなめらかプリンをゲットし、マダムに付き添ってタクシーに荷物を乗せ、無事にミッションクリアしました。
なめらかプリンはもちろんおいしかったです。
ありがとう、本当にありがとう!
全然大したこともしてなかったのにお礼をいただけるなんて。
これもうれしかったなぁ。
いい暇つぶしになって感謝したいのは私の方だったのに。
なお、会計はマダムにお任せしたのでお札は崩せませんでしたが、問題ありませんでした。
友達が細かいのいっぱい持っててw
よかったよかったww
そんな感じで、ちょっといい話2つでした。
重め現代ドラマ「私の中のダイヤル」を投稿したあとにこんな話書いて、温度差で風邪引きそうです。(以前応援コメントでいただいた、気に入ってるフレーズww)
さて、マダムたちのおかげで1話分は何とか埋まったわけですが……
次はどうしようかなぁ。
バカはバカなりにプライドがあるんだよという話でもしましょうか。
粋がるのもたまにはいいでしょう。
はい、続きます!
なんかすみません、でもまた書いちゃいますねー!
よろしくお願いしまーす!
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