第7話 悶える私と赤い彼

 お昼、舞子といつも通り一緒にお弁当を食べていた。最近はそれなりに色んな子と話せるようになったけど、何となく一部のグループから嫌われたり何なり……まぁ別に良いけどね。

 私には大野くんがいるだけで、ハッピーなのさ!

「そういえばさー。」

 舞子が思い出したように話を振ってきた。

「んー何?」

「前言ってた、友達の本音がどうのって話、解決した?」

「………?あぁ!あれかぁ!」

 私が大野くんに告白してすぐのやつね。

「そそ、どうだった?上手く行った?」

「モチのロンよ。アドバイス助かったよ。遅れちゃったけど、ありがとー。」

「いやいや………それで、どんな話だったの?」

 舞子は興味津々な顔で聞いてきた。

 やっぱり気になるよねぇ…どう説明しようかな……


「んー、まぁ、私のことをどう思ってるかってニュアンスの話だったんだけど。」

「フムフム!」

 鼻息が荒いなぁ……

「今まで仲良くしてたんだけど、私がちょっと迷惑かけちゃって、それをどう思ってるかっていうのを聞きたかったの。」

「ほーん、なるほどねぇ。それで?」

 食い付くなぁ。

「アドバイス通り、怖い顔して問い詰めたらちょっとした誤解があったみたい。そこで色々話していく内にそれも解消されたよ。」

 嘘ではない……多分。

「へぇー!やっぱり私の言った通り、ゲロッたね!」

 舞子は自分の指摘が上手く行ったことが余程嬉しかったのか、ドヤ顔をしながら自慢気に言った。

「うん、そうだね。……でも今お昼だからそう言うのはちょっと…」

 周りの目もちょっと痛い………

 しかも、前の席の大野くん。私の今の現状に肩揺らして笑ってるな?

「んあぁ、ゴメンゴメン。」

 まぁいいや。

 それよりも、舞子と話すのはかなり楽だ。やはり気兼ねなく話せる友人というのは何者にも代えがたいと思うな。











「あぁ、あの早退の時の入れ知恵は小菅だったのかぁ。」

 放課後、いつも通り二人でいる時に、舞子について話した。

「ちょ、入れ知恵って何よぉ?」

「だって、お前があんな風に迫るなんて、今思えば違和感だらけだし。」

「……う!」

 思い出したら恥ずかしくなってきた………確かにあれは大胆でしたね……

「あ、もしかして、あの時のお前は替え玉だったとか?それの方が信じられるよ。」

「む、それはちょっと酷くない?」

 頑張ってやったのに!

「あーあー、俺は川越じゃなくて、別の人に告られたのかぁー。」

 くぅ、煽りだって分かるけど!悔しい……

「な、なら!証明して上げる!」

 反撃じゃい!

「へ?」

 大野くんも突然のことに理解が追い付いてないみたいだ。

「ほら!立って!」

「え、えぇ?マジでやんの?」

 大野くんを壁際に立たせて、私がその向かいに立つ。大野くんはこうなるとは思わなかったのか、ちょっと緊張した表情をしている。

「当たり前でしょ!これで、私が本気だって分からせて上げる!」

 そんな中私は……緊張してるに決まってんじゃん!あの時は勢いと不満でなんとかなったけど、今回は違うじゃん!冷静にあの時の再現ってことじゃん!あれをもう一回やれとか、なんの拷問だって話だよ!

「大野くん。」

「な、なぁ川越…謝るからさ、考え直…っ!」

ドン!

 私はあの時のように大野くんの胸ぐらと左手の袖を掴む。

 ままよ!!!

「フゥーーー……スゥーハァー……私は!大野くんの事が好き…だけど……大野くんは私の事……好き?」

 決まった!私の心臓は今には弾けそうだけどね!

「あ…う………」

 あのとき同様、大野くんの耳は真っ赤だ。

 多分私の耳も…………


 

「ふ、ふぅ!こんなもんよね!」

 何時間とも錯覚する程たったような、そうでもないような時間か過ぎ、私は逃げるように大野くんから離れる。これ以上は危険と私の脳が判断したのだ。

「……………すまん。」

「え?な、何が?」

「お前の気持ち軽く言っちまって。……お前の気持ちは嬉しいよ、ホントに。」

「……うん。」

 ヤバい、大野くんの顔を直視できないぃぃ………告白したときぐらい、心臓がバクついてるよぉぉ!

 今日は恥ずかしすぎて、手を繋ぐことも出来なかった。お互いに。

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