21. 質対量の重要性
(三人称視点)
リーマルドのギルドの
「ギルド長!木材を持って来ました!」
「…なら、建物を建てている人のところに持って行って欲しい。まだまだ足りないはずだ」
「分かりました!」
「ギルド長よぉ…包帯も薬も何もかも足りねぇ今、あっちのやつは助からねぇ。見捨てるべきだ」
と冒険者らしきガタイのいい男がガラストにあるテントを
「…どれだけ
と聞き返すと
「血を流し過ぎてるから夜まではもたねぇ。…だが、あんたが言うなら頑張るしかねぇ」
と言って冒険者の男はテントに戻っていった。
ガラガラ
「うん?」
とガラストが音の方向を向くと
「すみません。ここで1番偉い人ですか?」
「…白い馬…。はい!何ですか?」
「王都でいろいろ人たちを見つけてきました」
と荷台を指しながらリナはガラストに言った。
それを聞いたガラストは素早く荷台に近寄り、扉を開けた。
荷台には怪我をしている大人や子どもが数十人いた。特に子どもが大多数を占めていた。
「こんなに…。これ以外の人は…」
「私たちが見つけたのはこれだけです。なので、まだ生きている人はいるかもしれません」
とガラストの言葉にリナが返した時
「誰だ!」
と先ほどの冒険者の声が聞こえてきた。
「今度はなんだ?」
とガラストは馬車から出て、急いでテントに向かい、中に入ると
「そこまで警戒しなくても良いだろう?」
「いや、てめぇはここら辺で見たことがない。声も聞いたことない。挙げ句の果てに顔も見せねぇ、誰がてめぇを信用するんだよぉ!」
と冒険者の男とフードを被った女が言い争っていた。
「誰だ?」
とガラストが聞くと
「ふむ…。名も顔も出せはしない。…が、怪我人を救いたいとは思っている。もちろん報酬はいらない。それに人が足りていないのだろう?私なら数十人を一気に見ることが出来る。どうだ?君はここで1番権力があるのだろう?」
と女がガラストの立場を完全に理解して、提案をした。
====
(ゴト視点)
グァァァ!
と竜がうなり声を上げながらオスクリタに体当たりをしにいった。それを
ゴッ!
「ふむ。なかなか力強いな…。だが…」
オスクリタは難なく受け止め、
ドゴン!
そのまま竜を殴り飛ばした。
ゴウ!
「…まぁ、お前が倒したいのは俺だろう」
と俺の放った火属性魔法をオスクリタは難なく振り払った。
「ちっ!」
このままじゃ先に死ぬのはこっちだ。
と思っていたら
ギャアアアアア!
と竜がいつの間にかオスクリタの近くまで来ており、オスクリタに向けて口から火を思いっきり火を吐いた。
「…その程度か…」
その火に対してオスクリタは闇を四角くし、盾のようにすることで難なく防いだ。
「…しかし狙われるのは分かっているが、どちらも俺を狙っているとは」
…確かに竜が吐いた火を近くにいた俺を避けてオスクリタに当たっていた。
「ならば」
と目の前から突然オスクリタが消えた。
ドゴォン!
ギャ!
「お前から倒れてもらおう」
オスクリタは竜の近くまで飛ぶと、そのまま竜を王都の壁まで殴り飛ばした。
そこでなんとなく防御魔法で自分を囲むと
ドゴン!
と自分の身体が後ろに飛ぶ感じがし、何かに叩きつけられた。
====
(三人称視点)
「ふむ、防御魔法を使う勘は鋭いようだ。…まぁ、そろそろ殺すか」
とオスクリタは自分が殴り飛ばしたゴトにトドメを刺すべく、衝撃によって舞った土埃の方向に歩みを進めようとするが…
「少し私の相手をしていただけませんか?」
とそのオスクリタの歩みを、剣を抜いたアドニアスが止める。
「…ふむ。これはこれは、美しいお嬢さんだ。俺の相手をしてくれるのか?」
とオスクリタが聞くと
「そうですね。少し話し相手になっていただければ…。何故リーマルドなのですか?」
とアドニアスが答え、質問した。
「壊したいから…と言うのは君の求める答えじゃないだろう。…聞いたんだ。ここに壊し甲斐のあるものがあると」
「そうですか…」
と少しうつむきながらアドニアスが言った。
「君についたその傷、…とても美しい。いかにも壊れかけといった感じだ」
「…」
「だから、壊してあげよう」
とオスクリタは闇を振るう。…が
キン!
とアドニアスは姿勢を低くして闇を避け、剣を鞘に納めた。
「そうですか。…私の相手はしていただけなくて結構です」
「俺の闇から逃げられると?」
とオスクリタが言うが…
ドン!
「ぐっ!」
とオスクリタが何者かに殴り飛ばされた。
オスクリタが殴ったのが誰なのか、体勢を立て直して見ると
そこには右腕の拳を振りかぶっているゴトがいた。
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