14. 何で探しているの?
「じゃあ、全員やることをやるってことで」
王都に着いたところでそう言うと
「兄様!私はどうすれば?」
とファウシーが聞いてくる。
「お前は俺について来い」
「私は一旦帰りますので…準備でき次第、ここに来ます。…では、さようなら」
と言ってアドニアスは馬車に乗って帰っていった。
「…フルーは?」
「ついて行く」
====
「あ!ゴトさん!」
ギルドに行くと、偶然にも受付で暇そうにしているユアさんがいた。
「ユアさん。今から団体登録の追加は出来る?」
「はい、大丈夫です。どなたを追加するのですか?」
とユアさんが聞いてきた。
「はい!私です!」
と大きな返事をしてファウシーが冒険者の証を出した。
「分かりました。ゴトさん、団体の証明書を出してください」
と言われたので出すと…
「今から登録をするので少し待っていてください」
と言って奥に行った。
「…で、これが終わったら家に帰れよ」
「わかった!…私も帰ってくるからね!」
とファウシーが答えた。いや…
「一緒にエレーデに行けるかどうかは分からないだろ?」
と言うと
フッフッフ
と口を閉じて笑うと
「そのことはちゃんと考えてあるから、絶対一緒にいけるから!」
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「はい。こちら冒険者の証と団体の証明書ですって…あっ」
ユアさんが、こちらが出したものを返すために受付に証と証明書を置くと、ファウシーは素早く証を取り、そのまま駆け出していった。
「まぁ、気にしないで。やることがあるみたいで…。とりあえずありがとう」
「あ、はい。…えっと、恋人だったりします?」
「あぁ…妹なんだ。血は繋がっていないがな」
「そうなんですか!」
と少し前のめり気味にユアさんは言った。
「そういえばゴトさんに伝えておきたいことがあります」
と突然ユアさんが話始めた。
「何?」
「私、しばらく王都から離れます。他のギルドに依頼を渡しに行かないといけなくなって…」
「そうですか…。今日の夜、一緒に食べます?」
「いいんですか?」
とうれしそうに聞いてくるので
「いいよな?フルー」
「うん。ついて行く」
「王都に着いてからそればっかだな」
====
「家を引き払う?」
「はい。しばらくたくさんのギルドを周らないといけないので…。ほら、いない間に誰か入ってきていたら怖いじゃないですか」
「うん。分かる」
夜ご飯を食べながらフルーとユアさんは話している。
「もったいなくないか?」
「ギルドからその分のお金は出るので問題ないです」
「そういえば…」
「ちょっとここだけの話をしていいですか?」
と小声で、周りに聞こえないようにユアさんが話しかけてきた。
「あぁ」
「ありがとうございます。実は、ゴトさんのことを探してほしいという依頼がありまして…」
うん?なんで俺?
「…どんな格好の人?」
とフルーが聞く。真っ先に思い浮かぶのは、俺を狙ってくる暗殺者だな。
「依頼者は顔を仮面で隠していて、頭も布で覆い隠していました。ただ…」
「ただ?」
「声は女の人でしたね。あと少し見えた髪の色は白色に近かったかな…」
「…知っているか?」
とフルーに聞くと
「知らない」
と淡々と答えた。多分まじで知らないやつだ。
「依頼者ならどこに来てほしいとかあるよな?」
「レンス村の近くの森の中です。依頼は受け取りましたが、貼り出してはいません。怪しくてゴトさんのことももちろん話していません」
う〜ん。1人、特徴に合うやつがいるんだよなぁ。最近、家を追い出される前に近くにいたやつのことを思い出すことがあったから、そいつのことを偶然思い出していた。
「レンス村って王都から近いよな?」
「はい」
「じゃあ、ちょっくら会いに行ってくるわ。多分、そいつ、知り合い」
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(三人称視点)
「
「…父は無いのか…」
ファウシーは無事にスラルランド家に帰ることが出来て、父に怒られた。夕食を食べた後、ファウシーは母を呼ぶ。
「何かな?」
「一緒に祭りに行こ!エレーデに!」
「それは駄「
流石にファウシーを家から出したくない父は「駄目だ」と言おうとしたが、食い気味にファウシーに否定され、四つん這いになって落ち込んだ。
「何でかな?私たちはあまり王都から離れる訳にもいかないんだよ?」
と
「お母さんはいっぱい遊んでいたのに?」
「ぐっ」
痛いところを突かれたように母は言葉を詰まらせた。
「私は全員で行きたいな。スラルランド家の全員で。休むのも重要でしょ?」
と真剣な声でファウシーは言った。
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