12. 一生、あなたの隣で…
「なぁ、ファウシー」
「何?兄様」
「ちょっとスラン借りていいか?手紙を持って行ってもらいたくてな」
とファウシーに言ってみると
「良いよ!」
と夜ながら良い返事をしてくれた。なので…
「ちょっと、洞窟まで行ってリナさんたちをこっちにある適当な洞窟まで移動してくれない?」
とスランと一緒にエレーデを出て、森まで移動してそう話した。
『…移動させるつもりはなかったんじゃないのかい?』
もちろんそのつもりだった。だけど…
「なんとなく。リナさんには悪いけど嫌な予感がする」
『…ゴトが言うなら連れてこよう。何せ君の言うことは大体当たる』
と言うとスランはゴウフトに向かって駆け出した。
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そうしてジュビナが貸してくれた部屋に戻ると
「アドニアスさん、流石に駄目です!兄様は1人、私たちは3人で一つの部屋です」
「あら、夫婦となるかもしれないのに一緒に寝ては駄目なの?」
「駄目です!」
とアドニアスとファウシーが言い争っていた。
「おかえり」
「ただいまフルー。部屋の分け方で争っているのか?」
「うん」
とフルーが答えた。
「俺は1人で寝るぞ。部屋は余っているんだろ?3人は俺以外の部屋で好きに寝るといい」
大きな部屋の中には、何人もの客を考えてなのか、いくつかの小さい部屋があった。
「分かった!」「…分かりました」
とファウシーは元気よく返事をし、アドニアスは舌打ちをして答えた。
「じゃあ1人1部屋。ゴトは1番大きいここで寝て、私たちはそれぞれ小さい部屋で寝るでいい?」
とフルーが珍しく案を出した。
「…それで良いんじゃね?滅多にない、1人で寝れる機会だしな」
「…まぁ、いいです。そろそろお腹も空いてきた頃ですし」
「じゃあ、食べに行こう!」
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そうして4人でご飯を食べ、それぞれの部屋に行った。
目をつぶって寝ようとするが…
「…寝れない」
いつもなら寝れるんだが。
と思い、目を開けると
「!?」
短剣を持ち、俺の上に乗り、振りかざそうとしているフルーがいた。
しかし、
カチャ
フルーは短剣をしまい、俺から降りた。
「殺せない。不思議な力、[第六感]って」
「なんだ?急に」
とフルーに聞く
「私は殺すためにあなたに近づいた」
俺を殺す?
「俺を殺すとどうなるんだ?」
「大金が手に入る。あなたは賞金首」
は?…と思ったが、どこかの貴族がそうしたのか?とも思った。
「何回か試した。後ろから切りかかってみたり、油断を誘ってみたりした。今日の部屋割りだってわざと1人1部屋って言ってみた」
「でも、
「ちょっと待て。俺はフルーが乗っていることに気づかなかったぞ」
「それは、私のスキル[遮断]で私のことを感じないようにしてたから」
そういえば気配を消せるやつとしか言ってなかったな。
「スキルを使っても殺せない。だから別な方法を取ることにした」
「別な方法?」
なんだ?
「賞金首になった以上取り消せない。依頼した人も。だからあなたが死ぬ寸前まで殺されないようにする。死ぬときになったら私が刺せばいい」
なるほどな、殺せないなら死ぬまで待てばいいと…
「それまで近くに居させろってか?」
「うん。あなたにも暗殺者に殺されないという利点はある」
「…その自信はあるのか?俺を暗殺者から守るという自信が」
と試しに聞いてみる。
「うん。絶対」
「そうか…」
「勝手にしろ」
というかフルーの場合、俺がどうこうできる問題じゃない。[遮断]がどういうスキルか分からんが、少なくとも隠れられたらどうしようもない。
「いいの?」
「その代わり俺が死ぬまで、寿命を迎えるまでしっかりやれよ」
「うん、分かった。ずっと隣で…」
そう言ってフルーはさっきまで短剣を握っていた手で、俺の手を握った。
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