11. いや、仲良くするけど?
エレーデの中は祭りということもあって、店の中ではなく店の外で商品など売っている店が多く、賑わっていた。
「お菓子を売ってるよぉ~。持ち運べる様に木の皿付きだよぉ~」
「お客さん。うちで今日の為に作った置物なんだ。記念にどうだい?」
店員の声が聞こえてくる。何人かの人が立ち止まって商品を見ている
「祭りというには小さいような」
「夜だからだろ」
フルーの言葉に俺が答える。むしろ夜まで店をやってるのかよ。
「ふむ…。せっかくだから買おうかしら」
といつの間にかアドニアスが置物を見ていた。
「嬢ちゃん買うかい?少しなら安くするよ!」
「店主。この街の祭りは夜までやっているのか?」
と聞いてみると
「店はやっているところはやっているって感じだな。祭りの催し物を見たければ昼に来るといいぞ!」
「夜はやっていないと…」
「やっているはやっているんだが…じじい達が飲み歩くだけだぜ」
それは…参加したくないな。
「なるほど。…この近くに泊まれる場所はありません?」
とアドニアスが聞く。
「ねぇな。祭りになるとしばらくはどこの宿も人でいっぱいだ。街の外で野宿するやつらがいる程だ」
と店主が言う。
「それは困りますね!馬車で寝泊まりをしますか?」
とファウシーが言う。いや…
「あの馬車は狭いだろ。それに分けられないだろ」
流石に俺と
「狭いと思う。私は寝れるけど…」
とフルーが言う。う~ん。
「…俺が外で見張りをすればいいか…。御者と一緒に」
と思っていると
「ガランタさ~ん!」
と言う女の声が聞こえてきた。
「ジェビナちゃんか。今日もありがとな」
「大丈夫ですよ」
ガタン!
とジュビナは野菜が入っている木箱数個を一気に地面に降ろした。
「ジュビナ?…あぁ、あのメイドか」
と声に出すと
「あらぁ。ゴトくんじゃないですかぁ」
と俺に気づくとジュビナは駆け寄ってきた。
「知り合いですか?」
と隣にいたアドニアスが聞いてくる。
「初めまして~。ジュビナと言います。ゴトくんの元メイドです」
と柔らかい声でジュビナは言う。
「…元とは?仲よさそうですけど…」
「あぁ、フルー。それは…」
「私の身体に我慢出来なくて、手を出したんですよねぇ。それで辞めないといけなかったんですよ」
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「はい?メイドに手を出した?」
とジュビナの言葉を聞いて、アドニアスが冷たい言葉でそう言った。
「まぁ、そうだな」
ジュビナは年上だが、同い年と話している様な感じになっていた。そして豊満な身体を持っていてそれが服から溢れそうになっていた。…そうなったらもう手を出すしかないだろう?
「もしかして他のメイドにも?」
「まぁな」
流石にアドニアス相手に嘘はつけない。
「皆さんはこんな夜遅くに何をやっているんですかぁ?」
とジュビナが俺たちに聞く。アドニアスは俺を睨んでいる。
「泊まる場所が無くてな」
「それなら私のところに来ません?」
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「ここをどうぞ!」
と俺らはジュビナに連れられ、ある宿屋に案内された。
「いいのか?」
「はい。1部屋だけですけどぉ…」
大きい部屋だけど、1部屋かぁ。…まぁ、無いよりマシか。
「…おいくらですか?」
とアドニアスが聞く。それなりにするだろ。
「お金は取りませんよ~。ここ、私が買った部屋なので」
「ここを買った?金貨何十枚だと思うけど」
とフルーがジュビナの言葉に反応した。
「そうですよ。30枚ぐらいだったかなぁ~。まぁ気にしないでください。私はこれから別の場所に行かないといけないので。ではまた明日!」
と言うとジュビナは走って部屋から出て行った。
「では、聞きたいのですけど…メイドについて」
とアドニアスが言う。
「兄様。私も聞きたいなぁ」
とファウシーは笑顔で言ってくる。
「分かったよ」
====
(三人称視点)
「う~~~ん!ちゃんとしているかなぁ~?」
とジュビナは洞窟から伸びをしながら出てきた。
洞窟の周りは、森になっていて月明かりで照らされている以外の場所は真っ暗だ。
その真っ暗な森をジュビナはまっすぐ進んでいく。
その道すがら
ガルルル…
とうなり声が聞こえ、真っ暗な森には何かの生き物の目だけが輝いて浮かんでいた。
しかし、そんなことを気にせずに真っ暗な道を迷わずにジュビナは進んでいく。
『『我が竜王よ!』』
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