6. お礼してくるけど行く?
「1体狩ってきた。……大きい」
街に向かう途中の道で街に行ったファウシーを待っていると、フルーがフォーリナフを1体を持って帰って来た。
「あぁ、狩ったやつが思ったより大きかったんだよ」
「…どうやってここまで持ってきたの?」
と当然の質問をしてくる。
「たまたま見つけた力持ちの知り合いに頼んだんだよ。もちろん後でお礼をしに行くつもりだけどね」
「…ファウシーは?」
「今、ギルドの係員を呼びに行ってる。これを街に持っていく訳にはいかないでしょ?」
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大きさは関係無いので、俺とファウシーで狩った2体とフルーが狩ってきた1体で依頼は達成できていた。ただ、1番大きなフォーリナフはあまりにも大きすぎるということで元々の報酬に加えて金貨1枚をもらった。…ギルドの人、大変そうだったなぁ。
思った以上に報酬が手に入ったので…
「今日の夜ご飯はいつもより良いものにするか…」
「いつもよりも?」
とフルーが首を傾けながら言った。
「あぁ、金貨1枚を偶然に稼げたからな」
「では、飲み物が美味しいところに行きましょう!私はそんな気分です!」
「じゃあ、店、探しておいて」
「はい!」
とファウシーが走っていった…が
「あ!そういえばギルドに証を受け取ってこいよ。俺らは宿を取ってくるから」
と思い出したことを言うと
『わかった!』
と止まったファウシーが大声で返事をした。その後、再び走っていった。
「…じゃあ、宿を取りに行こうか。こっちはフルーが選んで」
「分かりました」
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少し良い夜ご飯を食べて、宿に行き、隣の部屋から声が聞こえなくなり、寝静まったころ…
「…寝てるな。まぁ寝てなくてもいいか」
と俺1人だけの部屋を出て、ある場所に静かに向かう。
ギィィ
「すみません」
「昼間に来た兄ちゃんか。妹ちゃんは?」
と受付にいる老人が声をかけてくる。
「流石に寝てますよ。…で、ちょっと走らせたいので出してもらってもいいですか?」
「預かり票は?」
と言われたのでスランを預けた時にもらった紙を渡した。
「…良し。表で待ってろ」
と紙を確認し、こちらに返しながら言った。
外で待っていると…
「これでいいんだよな?」
と白い馬、スランを連れてきた。
「はい。ありがとうございます。終わったら預けに来ますので」
「そんときは預かり票を見せてくれ」
「分かりました」
と言って、おとなしいスランにまたがり、森に向かった。
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しばらくして…
「ここでいいか…。止まって良いよ。スラン」
と言うとスランはゆっくり止まった。
「でさ、ファウシーは本当に書き置きを残してきた?」
と言う。するとスランは俺らの後ろを見て、誰も着いてきていないことを確かめると…
『…書き置きは残していたよ。本当にひと言のね』
とスランが言った。
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『で、どこに行くのかな?』
「フォーリナフを運んでくれた人のところにね」
『お礼か…何も持っていないようだけど?』
「それが良いんだって」
しばらく森の中をスランと共に歩いて行くと
「…来ましたね」
と森の中にある洞窟近くの岩に腰掛けた女性がいた。
「運んでくれてありがとうございました」
とまず女性に向けてお礼の言葉を言う。
「いいですよ。むしろ見逃してくれたので…」
「いや、どのみち足りていたのでいらなかったです」
「えぇ…」
と少し話していると…
『…お礼は?』
「話す馬…魔族ですか?」
『そっちじゃない。で、お礼はどうするのかな?ゴト』
「いまお礼をしているよ」
と言うと
『は?』
「これが私の頼んだお礼なんです。私の話し相手になってくれることです」
『あぁ、そういうことね』
と女性と話していると…
「…!ちょっと待っていてください。すぐに戻ってくるので」
と突然女性が洞窟の方を向き、言った。
「分かりました」
そう俺が言うのを合図に女性の身体がどんどん大きくなり、形、色などどれも人ではないものではなくなり…
ブモォ…
あの時見た、少し大きめのフォーリナフになり、洞窟に入っていった。
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