5. 討伐したけど、どうすんのこれ?

ゴウフトに着く前にファウシーと合流し、今に至る。


「兄様!依頼は何なのですか?」

とファウシーが歩きながら聞いてくる。

「魔物討伐らしい。それ以外は書いてないな。たぶん依頼した人に聞けってことだろ」

一応ここのギルドに行って、確かめてこよう。




「この依頼か…ちょっと待ってな」

と言って聞いた受付にいた男の人が奥に入っていった。

「兄様兄様!」

「なんだ?」

「冒険者登録したいです!」

とファウシーは言った。

といってもなぁ…

「今から登録すると、依頼には着いていけないぞ」

「う~ん。それは悩みどころ…。兄様の勇姿を見届けられないのは…」

まぁ、聞いてみるか…。


「すみませ~ん」

「はい。なんですか?」

ちょうどさっきまで受付していた人がいなくなって暇になっていた、隣の受付のお姉さんに話しかけた。


「冒険者登録って、登録するだけして証を受け取るのは後っていうのもできますか?」

実は、冒険者登録をして証を受け取った後は講習を受けなきゃならないらしい。それも人が集まるまで待つので時間もかかる。


俺の時に早かった訳は、ユアさんが忘れていたとのこと。昼ご飯を食べている時に思い出したらしく、その場で軽い説明をしてくれた。


「まぁ、受け取るのが早いに越したことはないですが…別に後で受け取って講習を受ければいいですよ」

あ、それでいいんだ…。

「じゃあ、私の冒険者登録をお願いします!後で証の受け取りに来ますので!」

とファウシーが言うと

「分かりました」


====


「待たせたな。討伐対象はフォーリナフだな」

しばらくすると奥にいった男の人が帰ってきた。

「フォーリナフ?」

「大きい猪だ。仲間すら殺し、食べるやつらだ」

えっと…

「…それだけですか?」

「といってもなぁ。これぐらいしか言うことは無い。…あと言えるとしたら頭は良くないから罠とかにかけると倒しやすいぐらいだ」

…それ、最初に言うべきことじゃない?

「倒しやすいけど、油断はするなよ」



ギルドを出て、すぐに森にむかった。

「フォーリナフ3体…」

「1人1体ってこと?」

とファウシーが言う。いや

「ファウシーにはやらせられないぞ。冒険者じゃないじゃん」

「まぁ、そうだけど…。でも、暇なんだもん!スランもいないし!」

スランは置いてこさせた。もちろんギルドの息がかかっているところにだ。


「じゃあ、俺について来い。フルーは1人で頼む」

流石に3人で1体ずつのは時間がかかるからな。

「分かった。こっちが2体倒してもいい?」

「いいぞ。その時はフルーが報酬の2/3持っていって良いからな」

「分かった」

と言うと俺たちはフルーと別れた。


====


初めての相手なので苦戦するのかと思っていたが…

「う~ん。こんなものなのかなぁ」

と地面から頭の1番上までの大きさが俺らと同じぐらいの猪、フォーリナフの倒れている姿を見て、思わず言ってしまった。


「兄様、本当にフォーリナフ?」

「たぶん、合っているはずなんだけど…」

となんとなく辺りを見回してみると


バキバキバキ

死体これよりも一回り大きい猪がこっちにやってきた。

「えぇ~と。これ、子どもかな?」

ブォォォォ!

とフォーリナフが叫ぶ。

「…少し逃げるよ。ファウシー」

「分かった!」


と木の間を抜けながら、木の間を無理やり通りながらこっちに迫ってくるフォーリナフから逃げる。



「風よ!敵を引き裂け!」

風属性魔法を放つが、フォーリナフの体に傷をつけるだけで、その歩みは止められていない。



ビュン!

とフォーリナフに向かって何かが飛んでいった。そして…


ドガァン!

フォーリナフにが突き刺さった。


「兄様!お怪我はない?」

と駆け寄ってきた。

「大丈夫。とりあえず2体討伐だね」

フォーリナフに刺さった木はファウシーが蹴飛ばしたやつで間違いない。


「ただ…どう持ち帰る?」

小さいものとその何倍もあるフォーリナフ…

「ファウシーが蹴飛ばすのは?」

「すぐに粉々になる!」

ファウシーのスキル[剛脚]ならそうなるよなぁ。

「なんかどっかに、これらを引きずって持って行ける魔物でもいれば良いんだけど…」

と言いながら辺りを見回していると…


ブモォ!?

「「あ」」

と木の陰からこっちの様子を見ている少し大きめのフォーリナフがいた。

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