2. 依頼に向かう二人
依頼の腕ウサギを狩るために近くの森に俺たちはやってきた。
「あ!そういえば名前聞いてないや。名前なに?」
「フルー」
「フルーね。じゃあフルー、どっちがより多く腕ウサギを狩れるか勝負しよ。負けた方がご飯おごりで」
「…え?」
「よ〜い、始め!」
と言い俺は勢いよく駆け出す。勝てばご飯がタダだ。
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(フルー視点)
「えぇ…」
私は戸惑っていた。が、すぐに切り替える。これはいい機会だ。
「ゴト・スラルランド…」
紙に魔法で写されたその姿を見る。間違いない。彼が1番の賞金首。
ゴト・スラルランドはここ数年、裏で有名になっている。それは誰も傷1つつけられていないから。数多の裏の人たちが殺そうとしたが、未だに生きているのが彼である。ちなみに賞金首になっている訳は知らない。
「(スキルで防いでいると思っていたけど、たぶん違う。知らないみたいだし)」
でも今まで殺せてない訳はわかった。
ギルドで彼の背中を大きく切り裂くつもりだったが、振り返ったことで避けられた。その時、彼は気づいている様子はなかった。つまり…
「偶然、それがスキル?」
[第六感]は神を味方につけるものなのかもしれない。
で……
「今から狩るか…」
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(ゴト視点)
しばらくして
「じゃあ、俺の勝ちね。夜ご飯よろしく!」
20対9。完全に俺の勝ちだ。
「ずるい」
「何が?」
「私に突然言った。集まる場所も決めなかったから狩る時間がなかった」
流石にいきなり言ったのはずるかったか…
「じゃあ3割払うから残りはフルーが払って」
「分かった」
といいながら狩った腕ウサギを20匹腰にくくりつけてギルドに戻ろうとすると
「あ、ちょっと待っ」
「うん?」
とフルーの方を向いた時、俺の腰から1匹腕ウサギが落ちた。
「おっと!」
ヒュン!カッ!
「危ない危ない。縄が緩かったかな?」
かがんで腕ウサギを腰に結び直す。
「で、何?」
「……結び方」
「それはなぁ…」
とフルーに結び方を教え、そのままギルドに向かった。
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「報酬はこちらとなります」
とユアさんから銀貨3枚を受け取った。
「ところでお2人は組んでいますか?」
「い…「はい」」
と俺の言葉にフルーが言葉をかぶせてきた。
「で、では団体登録をされてはどうですか?」
「団体登録?」
「はい。このギルドのみですが、団体登録した皆さんが一緒に行動しているとして、もし誰かの
「それは普通となにが違うの?」
「そもそも頼まれなければギルドは人を探しません。団体の場合は作る時にお金をいただく代わりに救助、個人の冒険者ではやらない調査をすることができます」
「いくら払えれば団体登録できるんだ?」
「銀貨10枚です」
「じゃあい「払おう。俺たち2人を登録してくれ」」
隣でフルーが何か言おうとしたが、今度は俺が言葉を被せた。
金貨1枚を出し、しばらくすると…
「おつりとこちらが団体の証明書です。なくさないように…あと、人が増える場合には必ずギルドに登録に来てください」
「分かった。じゃあご飯に行こうか、フルー」
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もぐもぐ
やけにフルーがこっちに見てくる。
「なんだ?あ…」
忘れてた。報酬だな。
俺は銀貨1枚を取り出し、机に置いた。
「…何?」
「報酬。銀貨3枚だったから銀貨1枚で。1割じゃないけど多いからいいだろ?」
「…分かった」
と言ってフルーは素直に銀貨を懐にしまった。
「…でだ。次は何の依頼を受ける?」
「…いいの?勝手に組んでいるって言っちゃったけど、別に1人で依頼を受けても良い」
と意外にもフルーは2人で依頼をやることにこだわりが無いようだ。…じゃあ、なんで組んでいるってギルドに言ったのか分からないが…。
「団体登録したから離れる訳にはいかないだろう?」
「……そう…だね。離れたら面倒くさくなる」
「そうだろうな」
ユアさんが言った「団体登録した皆さんが一緒に行動しているとする」という言い方から、ギルドは団体の誰か一人でも欠けていたら怪しみ、訳を調査するだろう。だって一緒に行動していないのだから。
「…じゃあ、少し遠出しよう?長い依頼ならランクも上がりやすいはず」
「そうなのか?」
「うん。長い分報酬が良いから同じランクの依頼の中だったら上がりやすい方」
それはいいな。
「じゃあ、そうしよう。明日からで良いよな?」
ゴクン
「うん」
とフルーがパンを飲み込みながら頷く。
「じゃあ朝、ギルドに集合で」
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