生ハムチーズのイングリッシュマフィン

 完全な偏見であるが、イギリスの料理は摩訶不思議。


 イギリスの食文化といえば『喫茶』が独り歩きしていてとても華やかなイメージが強いが、実際『食べ物』というと魚がパイから突き出している斬新……いや、ユニークなイメージなのだ。


 そんな不気味な印象をカバーして弁明する救世主は、きっとイングリッシュマフィンだと思う。


 週末の時間がたっぷりある朝は、目が自然に覚めるまで寝たいから、目覚まし時計はセットしない。緩やかに空に上がった日光で目覚めた僕は、遅めの朝食と早め昼食──所謂『ブランチ』を、イングリッシュマフィンで作る。


 気怠い朝には、火を使いたく無いのも本音だ。イングリッシュマフィンを手で半分に割って、トースターで焼くのと同時進行で、冷蔵庫にあったクリームチーズとブラックオリーブを包丁で刻みながら混ぜる。


 マフィンの縁がこんがりと色付き、表面がカリッとしたのを見計らって網の上に置く。すぐに食べるなら何の問題もないが、少し時間が掛かったりする時に皿の上に置くと、水蒸気でパンと皿の設置面がふにゃふにゃになるので、この手間は是非オススメしたい。


 その後、焼き上がったマフィンにマヨネーズを塗り、レタスをマフィンの大きさに合わせて2枚ほど千切って軽く水洗いする。


 サンドイッチは基本的にパンが水分を含むと萎々してしまうので、食材を挟む面に必ずバターやマヨネーズなどの油脂類で水分を防ぐ。水洗いしたレタスもキッチンペーパーで水分を拭き取ってマフィンの上に乗せ、先程刻んだオリーブクリームチーズ、生ハムをサンドする。


 手順は簡単なのに、クリームチーズとオリーブの色合いや、生ハムというお洒落な食材のお陰で特別感が倍増する。


 僕はマフィンに温もりが残っているうちに、そそくさと席につく。


 僕は手を合わせた。


「いただきます」

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