#3
『ごめんね……カフカを守るって約束したのに……』
皆が寝静まった真夜中、綺麗な顔をぐちゃぐちゃに歪めたオルカは、震える声で私の頬を撫でる。
小刻みに揺れる指先が痛々しく私を撫で、彼の心中を察した私は、もうそれ以上オルカが言葉を紡がなくても良いようにその拙い手を取って微笑う。
『オルカのせいじゃないよ』
きっと私達が人間だったなら、想いに乗せきれなかった薔薇の棘みたいに鋭く、紫煙の香みたいに焦げ付いた苦々しい感情の一縷を瞳から溢すのでしょう──?
ひりついた感情を赤色に染まった視界で埋めた私は、オルカが少しでも安心するように口の端を吊り上げて目を細める。
『少し瞳の色が変わっただけ……その他は、何も変わってないわ』
『……カフカ』
『ほら笑って?そんなしけた顔をされたら、私まで悲しくなっちゃう』
『そうだね……』
ぎこちなく口を横に開いた彼が不恰好な表情を作り、私はあまりにもお粗末なその笑顔に縋るように抱き付いた。
『オルカ……私達はずっと、2人で1つだよね?』
『あぁ、勿論さ!』
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