第25話『夢のお話』

 冒険者ランクがFからCまで上がり、お礼を言ってギルドマスターのいた部屋を後にする。

 ギルドの酒場に戻る途中、骸灰の衣に隠しておいたアフエラがピロン♪ と鳴った。取り出してみると、いつも通り液晶画面に文字が書かれてあった。


 随分とお上手でしたね。


「だろ? 俺でも冷静だと思ったぞ」

〔劇さながらでした。因みに、あの場でギルド職員の女性が『他人に公言してしまった』と言った場合撃っていましたか?〕

「……いや、撃ってなかったかもな。パニックになってたし、俺自身どうしてたかはわからないが……。人を撃つのはちょっとな」

〔私はいいマスターを持ちました〕


 酒場に着くとあの四人組がまだ座っていた。


「お、来た来た! 何話してたんだ?」

「あぁ、ランクがFからCまで上がった。凄いだろ」

「「「……えっ」」」


 リリィ以外皆目を丸くして驚いている。

 ふっふっふ。そりゃそうだ。なんて言ったってこんな飛び級をした冒険者なんて数少ないだろうしな。


「お前Fランクだったのかよ!?」

「飛び級もすごいけど元々Bランクくらいあるのかと思ってた……」

「枝でデグルベアに快勝するものですから、Aランクくらいの実力と度胸でもおかしくないと思っていましたが……まさか初期ランクとは……」


 あれ? 思ってたところと違うところで驚かれたな。

 まあいいか。


「……ミナセ。話したいことがある」


 リリィが突如、真剣な顔で……いや表情は動いていないが、そんな感じの雰囲気を出しながらそう言った。


「どうした?」

「……ミナセ。私は一昨日、ミナセが死ぬ夢を見た」

「お、おう。それは不吉な夢だったな」


 えっと……なんだ? 夢みたいにならないでねってことか?

 リリィの話を冗談と捉えそうになった時、周りの皆は深刻そうな表情をしていた。


「ミナセさん。自分の身を最優先に守ってください。彼女の夢は、半分程は現実に現れます」

「なんてこった……」


 え死ぬ? 転生してまだ一年たってないんですが。


「……ミナセ。ミナセだけじゃない。王都が沈む」

「「「「えっ」」」」


 声を合わせてみんなで呆気。


「……ミナセ。ミナセが原因。そして、ミナセが止められる」

「お、俺が原因? なぁ、その理由って……」


 ダメだ。銃との関係があるかだなんて訊くのはリスクが高い。戦争か? それとも俺が魔獣の餌でも撒いてしまったか?


「……ミナセ。これはミナセの尻拭い。または、私の見た夢の具現。ミナセのせいで、私のせい」


 お、俺のせい……。知らない間に死亡フラグでも立てたか?

 リリィは何故か鼻血を垂らし始めた。


「……ミナセ。い、一緒にお尻……拭い合おうね」


 なんか言い方変なんですけど……。

 周りのみんなも引いている。

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