第22話『あの日の四人組』
デグルサーペントを討伐した翌日。
電気ショックを受けたアイリスを一応医療施設に連れて行って、今日は狩りをしないと約束した日。
アフエラの液晶画面と自分の財布を見てため息を吐く。
見ているのはアフエラの『インベントリ』と言う機能のアイテム一覧。大量に生の魔獣肉と色々あって大量に集まった魔石。あとは大量の骨。
これだけの素材を売れば相当なお金になるのだが、どう売ればいいものか。
お財布はだいぶ軽くなってしまったのでなんとか売りたいのだが、ここまで溜めてしまったアイテムたちを一斉に売り捌くことはできないだろう。
「うーん……一旦ギルドから台車を借りて森から『運んできた感』出しながらギルドに持っていこうかな……」
アフエラに案の確認をすると、それで良いと思います。と言うので、この作戦を実行する。ふっ……演技力が輝くぞ。
ギルドから台車を借り、王都ミドリナの塀から出てコソッと偽装する。
アフエラから大量のアイテムを取り出し、台車に乗せられるだけ乗せる。俺の身長より高くなった肉と骨の『グロテスクマウンテン』を見上げて萎縮する。
「まじかぁ……これ運ぶのかぁ……」
〔マスターに運べますか? だいぶ質量があるかと思われますが〕
「やってみる……ふんっ!!」
台車は丈夫な紐で牽引するタイプの物で、格好としては人力車みたいな状態で運ぶ。
ローラーは少し大きめで地面との接触面が広い物なので地面に埋まってしまう恐れはないと思う。
でも動かない!!
「……無理なんだが……二、三回に分けるのも怪しいだろうし……」
〔マスターは元々格好が怪しいですよ〕
「えっ」
何かいい案が無いかと頭を捻っていると、いつか聞いた声が聞こえてきた。
「あ! あの時のボロ布さんじゃない!」
「おぉ本当だ! ……ってなんだその荷物……」
「お久しぶりです。僕たちのこと、憶えているでしょうか?」
そう言って声をかけてきたのは、俺が転生をした時に一番最初に出会った四人組だった。
「ひ、久しぶりだな。この荷物はその……ギルドまで運びたくてな。……手伝ってもらえないか?」
まかせろ!とか、あの日のお礼だね!とか快く承諾してくれた。初めて会った時にも思ったが、チーム全体雰囲気がいいな。
「【ウェイト・リダクション】」
杖を持った子が軽量化魔法をボソッとかけてくれたようで、かなり楽だった。
ギルドに運ぶ途中、俺らは自己紹介をした。
剣を扱う男は『タムヨス・ヴァル』。このパーティのリーダーをしているらしい。
盾を扱う男は『アデン・フローデ』。丁寧な言葉遣いの割に盾だけで攻守をこなす狂者らしい。確かに盾しか持ってない。
槍を扱う女は『ラムム・パルノート』。パーティの中で一番明るく、一番ビビリだそうだ。だから槍を使っている節があるとタムヨスが言っていた。蹴られてた。
杖を使う女は『リリィ・アストルト』。パーティに加入したのは最近だそうだが、腕は確か。彼女自身は馴染めていないのか、口数は少ない。
「改めてよろしくな。俺は水瀬虎寅だ」
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