第9話『鑑定機能』
一泊五〇〇〇G。
ベッドと魔導式のシャワーとトイレ。
本日の収入九〇〇〇G。
差し引き四〇〇〇G。
物価は大体日本と同じで、一G一円と言ったところだ。
「アフエラ、銃の存在ってこの世界だとどうなんだ?」
〔大雑把な質問の意図を解析。私は銃という存在が知れ渡った後にどうなるかという質問に対し、未来の予測は出来ませんと答えます〕
「どんな未来になるかとかは予想できないのか?」
〔上手く演算できずに終わるでしょう。しかし、そう言った未来を見ることに関しては人間であるマスターの方が得意でしょう。故に、私の中にある『鑑定』という機能を使いましょう〕
「鑑定?」
鑑定と言う機能は、アフエラ曰く、なぞなぞとクラフトに次ぐもの凄い機能だそうだ。……何でアフエラ基準だとクラフトよりなぞなぞの方が凄いんだよ。
〔鑑定の前に、マスターに質問いたします。マスターはレアリティについてどのように認識しておりますか?〕
「レアリティ? レアリティってゲームで言う強さだとか珍しさとかだろ?」
〔素晴らしいくらいにゲーム脳です。普通であればレアリティは単に希少性と答えるでしょう〕
オーマイガー。一般常識を問われると何かしら抜けてるのが俺らしい。視聴者にもそう言われたことがある。
〔マスターのおっしゃった通り、この世界ではレアリティは強さに直結します。この世界で手に入りにくく、再現性のない物ほど希少性は増し、強さへと直結いたします。レアリティのランクは下から順にR、SR、SSR、URとなります。ちなみに私、『魔導端末:アフエラ』はUR1です〕
「何だよUR1って。てかお前そんなにレアリティ高いのか?」
〔ええ、私はいわゆる『再現不可能な技術品(オーパーツ)』ですから。それと、URの数字は大きくなればなるほどさらにレアリティが高くなります〕
「へ、へぇ〜?」
よくわからんが、アフエラはヤバいんだな。日本で見かける何ちゃらパッドとは訳が違うと。
さて、本題の銃のレアリティだ。世間的にはどんな基準となるか、アフエラの鑑定でわかる訳だ。
SSR『ベレッタ92FS-MC』
魔導端末:アフエラによって作成された骨製の拳銃。元となったモデルのベレッタ92FSの機構に魔法を組み込んだ魔道具。
「SSRなのか? URじゃ無くて?」
〔技術的には再現不可能というわけではないのでしょう。ただ、戦争の火種になる可能性があるので無闇に公表するのはやめておきましょう〕
「そうだな。……人に見つかったら魔法を使ったとでも言っておくか……」
その後、いろいろ鑑定してみると、驚くべき発見があった。
UR3『骸灰の衣』
幾千もの命を灰燼に帰した死神が纏っていたとされる被り布。
特殊効果:『衝撃受け流し』『遮熱』『防火』『保温』『魂食』
〔この私が……アフエラが? ボロボロの布切れ如きにレアリティで負けている……ですか?〕
「まぁこのボロ布はゲームの大会で優勝した人しか貰えなかった物だからな……俺しか持ってないよ」
初参加の記念大会みたいなので優勝したから貰った物だ。ゲームじゃあただのオシャレ装備だったが、この世界だと特殊効果も付くらしい。
それはそうと、アフエラから落胆の雰囲気が感じ取れる。アフエラって結構感情あるよな……。
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