歪なサイコロ

「よう、賭博師さん」

 来たと内心冷や汗を掻く。向かいの席に座ったのはこの船の船長だ。世を騒がすこの隻眼の海賊を知らぬ者はいない。

「互いの運を賭けようじゃねえか。もしも俺に勝てたら次の港で降ろしてやる。勿論五体満足で、俺の眼の土産付きだ」

 どっと周囲が湧き上がる。

「なあ、知ってるかい? サイコロって昔は骨で作ったんだってよ」

 戦慄が走る。まさか。

「アンタが負けたら、その指全部頂くぜ」

最後の勝負は、命懸けだ。

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