第34話


4番目の扉が開く。

剣と斧を持った鎧魔ヲンジが盾を持って現れた。

盾が追加されただけで、鎧魔ヲンジが手強くなる。

仮に直剣グラディウスを手に入れたいなかったら苦戦は免れなかった。


剣だろうが、盾だろうが触れた部分を溶かす。

溶ける速度は、そこまで速くない。

なので一撃で倒せるわけではないが、確実に追い詰められる。

時間は掛かったものの、なんとか25体の鎧魔ヲンジを倒せた。


扉が開くにしたがって、だんだんと武器の数が増えていく仕様になっているようだ。

剣、槍、斧、盾と今まで増えてきたが、次は?

5番目の扉から出てきた鎧魔ヲンジの中に弓矢を持っているものがいた。


動きもこれまでと比べたら、格段に速くなっている。

よく訓練された兵士並の動き。

そこに弓矢が加わってきたので、かなり厳しい戦いになった。


隠密蜂ステルスビーを何百回と相手して身に着けた高速剣でなんとか凌ぐ。

弓矢を持った鎧魔ヲンジは空中歩廊にいるジェイドやニウを狙い撃っている。


ジェイドは、矢を避けて、ニウは風魔法で飛んでくる矢を無効化している。

どちらにせよ、ふたりとも防戦で手一杯なので、こちらへの助力は無理だろう。


上の方に意識が少し行ってしまい、守りが甘くなったところを狙われた。

左目のギリギリ……約10CMセルチのところで矢が止まっている。

左肩の赤い手が矢を掴んで止めていた。


やっぱり助けてくれている?

よくわからないけど助かった。

赤い手はそれから何度か死角から飛んできた矢を防いでくれた。


ニウ、ジェイドを弓矢で狙う鎧魔ヲンジを優先して倒す。

弓矢を使う鎧魔ヲンジが減って、ニウに余裕が生まれる。

岩精グラナドの力だろうか。 

空中歩廊から石飛礫が飛んできて、鎧魔ヲンジを攪乱させている。

そのお陰で鎧魔ヲンジ達の動きが乱れたので、戦い方を変えた。

これまで囲まれないよう逃げながら戦っていたが、積極的に前に出る。

複数を相手にしても打ち負けない。どんどん数を減らしていった。


「ふぅ~~~っ!」


動く鎧魔ヲンジがいなくなったところで深く息を吐いた。


なんとか勝てた……。

でも6番目の扉がまだ残っている。

どんな武器が増えるのか、数は35体に増えるのか?

5番目の扉でも、かなり厳しい戦いだった……。

6番目は、より一層苦戦を強いられそう。


だが、しばらく待っても6番目の扉は開かなかった。

ジェイドが下へ降りてきて、魔法陣を調べたが、やはりまだ反応しない。


「とりあえず休憩だな」


他にやることもないので、休憩を挟む。

下で休憩中に6番目の扉がいきなり開く危険性も考慮して上で休む。

正直、疲労がかなり溜まっていたので、すごく助かる。


自分とニウは身体を休めている。

その間にジェイドが緑小鬼ゴブリンの巣で手に入れた小瓶を取り出した。

小瓶には白い粉が入っていて、少しずつ外に出して何かをしている


約半日が経過した。

転移魔法陣だと考えていたが、一向に作動しない。

6番目の扉も開かないため、このままではないかとも思えてきた。


どこかで49階層に戻る決断をしないといけない。

食料は節約すれば3日以上は持つが、水が底を尽きかけている。

緑小鬼ゴブリンの巣から動物の皮を縫い合わせた水袋をジェイドが持っていた。

先ほど鎧魔ヲンジの矢が腰に提げていた水袋に当たり底が抜けてしまったそうだ。


「わかった。最後にもう一度だけ確認させてくれ」


ジェイドが梯子から降りて、魔法陣を調べる。

同時にゴゴゴッと急に6枚目の扉が開き始めた。

ジェイドはすかさず調べるのをやめて梯子を登ろうとした。


扉は上下に開閉する形状になっている。

開き始めた扉の隙間から一瞬、光が見えた。


「なっ、ジェイド!」


気が付くとジェイドが倒れており、こめかみから血を流している。

あわてて広場へ降りてジェイドに駆け寄る。


くそっ死んでる……。

何か飛んできたようだが、矢ではない。

刺さっているものは見当たらないが、血が止まらない。

こめかみに何かが埋まっているのかもしれない。


「サオン!」


初めて大きな声でニウが自分の名を呼んだ。

緊迫した声に顔を上げる。

すると、すぐそばに黒い甲冑を身に着けた魔物が立っていた。


盾は持っておらず、剣だけ携えている。

6番目の扉の先にいたのは、1体だけだったようだ。

どうやら目の前の黒い甲冑を倒せば終わるらしい。


ただし……。


「ぐぅっ!」


嘘みたいな威力。

剣同士が重なった瞬間、壁側まで吹き飛び、体勢を立て直す。

てっきりトドメを刺そうと追いかけてくるかと思ったが、ゆっくり詰めてきた。


直剣グラディウスの効果で持っていた剣が溶けたようだ。

自分の下へ向かう途上に落ちている長剣を拾おうと少し屈んだ。


ここしかない!

牽制を入れずに速さだけを追い求めた一撃を放つ。

未来視で先に動き、高速剣で相手が反応する前に斬る。

その気概で剣を振り下ろしたが、しっかりこちらの一撃に反応してきた。

その上、剣同士が衝突すると、またも背中を壁に叩きつけられた。


石飛礫クロイラ


ニウが対鎧魔ヲンジ戦で使っていた操霊魔法で援護してきた。

拳大の無数の岩石が黒甲冑を叩きつけるが、効いているようには見えない。


黒甲冑の手元が光る。

すると、ニウまで眉間をなにかに撃ち抜かれ、広場へと落ちてきた。


「ニウ!」


落ちてきたニウを受け止めたが、ダメだった。

眉間を撃ち抜かれ、血が止まらない……。






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