第50話
「あの~……本当に、ココにシフ様が入られるのですか?」
「………………」
少しだけ赤い顔をしてコウちゃんが問いかけてくる。
普段は無表情なセイちゃんも何かを期待するかのような熱いまなざしでオレを見てくる。
そう、オレが買い物を頼まれた場所、それはなんと――――――エッチな道具を売っている大人のお店でありました。
エッチな男性がエッチな道具を買ってきて、その道具でエッチな事をする。
なるほど、あのマダムが考えそうな事だ。
どうせなら、オレもそのエッチな事をする場面に混ぜてほしいぐらいだ。
とりあえず扉を開いて中に入って行く。
ギョッとした表情でこっちを見てくる、店員とお客さんたち。
そこには所狭しと、女性向けのエッチな道具が並べられていた。
男性用はないのかな?
そう思って吟味してみる。
なにやら店内の女性が、オレの事を獲物を狙うような目で見てくる。
それは、すぐそばにいる、コウやセイも同じまなざしを向けている。
小っちゃくても性欲は有るんだね。
いやまてよ、この二人はエルフだ、見た目通りの年齢ではあるまい。
きっと、合法ロリという奴に違いない。
まあ、合法だろうと何だろうと、ロリに興味はないが。
逆に生育が良い子なら未成年でも・・ケフンケフン。
いかんな、貞操逆転世界に毒されてきている。
「し、シフ様、その平気なのですか……?」
「ん、ああまあ、所詮ただのおもちゃだろ?」
「そ、そうですか……あの、良ければ、私にも買ってもらえませんか? お金は出しますので」
隣でセイちゃんまでコクコクと頷く。
そんなに異性におもちゃを買ってもらうのが嬉しいのだろうか?
とりあえず3人で仲良くショッピングを行う。
まるで仲の良い親子連れの様だ。
場所はエログッズ店なんだけどな。
二人とも、オレが選んだエログッズを胸に抱えて、一生大切にします。みたいな事を言っているが、それ、消耗品だからね。
しかもエログッズ。
衛生的にアレだから、汚れたら捨てるのよ?
しかし、貞操逆転世界だけあって、男性向けのエログッズは種類が少ない。
逆に女性向けのは前世で見たこともない、エグそうな奴までそろっている。
こっちの世界の男性は性欲処理をどうしているのだろうか?
オレは前世とそう変わらないのだが、世の男性は性欲が薄いのかもしれない。
男性が前世並みの性欲だったら、コソコソやるにも限界があろう。
う~む、男性向けのエログッズを作って売れば儲からないかなあ。
いや、作る気はないけどさ。
スリフィに言ったら飛びつきそうで怖いわ~。
「それではコレをお渡ししておきます」
二人と別れる寸前、何やら小さな笛をオレに差し出す。
なんでも二人にしか判別できない音を出す笛だそうだで、何かあればこれを吹けばすぐに駆け付けれくれるそうだ。
エログッズだけでここまでしてくれるとは、なんだか悪い気がするな。
そう思いながら館に戻る。
「せ、先生が買ってきてくれたバイ〇、先生が買ってきてくれたロータ〇……ハアハア…………」
オレが買って来たエログッズを手にして興奮しているスリフィ。
「どう、こういうシチュも良いでしょ?」
「さすがですマダム!」
「だからね、今夜はね、これをみんなで使って楽しみましょ」
エロに対してはやり手だなあ、このマダム。
しかし、そいつを巻き込まない方が良いと思うんだよなあ。
なんだか、ろくでもない事になりそうな気がする。
その翌朝の事だ、スッキリした顔でスリフィが言う。
「先生、女同士でも十分に楽しめるって事を知りましたよ、ボカァ」
性癖が増えた。
「いずれ先生の穴もズコバコしたいと思います」
しかもアカン奴や。
「ところで先生、後始末を手伝ってほしいんだけど」
「なんの?」
「いやあ~、ちょっとやり過ぎちゃってさ~……」
そうしてスリフィと共に向かった先、とあるサバトが終わった部屋。
どろどろに溶けるように折り重なった真っ裸の肢体たち。
スリフィがその肉団子に近寄って行くと、その足にしがみついて舐め始める。
ヒェッ……
「ああ、スリフィさまぁ~……」
「何やったの、おめえ……?」
「フッ、ボクの頭にはこの先、千年分のエロ知識が詰め込まれているのだよ」
女性がどうやったら感じるかなど知り尽くしていると答える。
なるほど、千年先の未来のエロ技術で、マダムどころかエルフの幼女まで虜にした訳か。
ぜひその技術、オレにも教えてくれないかな?
「先生ならいつでもカモンですよ!」
「まあ、その前に、付いてる貞操帯を外さないといけないけどな」
「うっうっう……クソッ、これさえなければ、もっと楽しめたのに!」
スカートをめくりあげて必死でパンツをかきむしるスリフィ。
行儀が悪いんで止めなさい。
こいつに貞操帯がついていたのはある意味、僥倖かもしれない。
きっと神様も、コイツはアカンと思ってスリフィに試練を授けたに違いない。
天使どころか性の魔王だぜ。
その封印を解くべからず。
といった所か。
「白き魔王スリフィ、爆誕! さっ、先生、ぶっ掛けてよ!」
「下品なんで止めなさい」
「え~……」
とにかく、そのまま放置しておくと病気になりそうなので、一人ずつ風呂にぶち込む。
マダムも男に興味がないだけであって、決して男嫌いという訳ではなかった。
体に触れても拒否反応がないどころか、悪い気分でもなさそう。
非常に役得でございました。
「暫くサバトは封印ね、毎回あの子に足腰が立たなくされたら、さすがに堪らないわぁ」
「おっしゃるとおりだと思います」
普通に政務もあるだろうに。
この館は基本、幼女しか居ない。
大人の仕事は、全部この人が一人で行っている。
趣味にかける情熱が半端ない。
皇帝陛下もそうだったし、帝国人の傾向なのかもしれない。
ただ、中身はほんとアレなんだけどね。
そんなある日の事だった。
いよいよ火薬に火が着くときがやって来たようだ。
どこからともなくやってきた、物々しい騎士の一団が街に入って来て館を取り囲まれる。
スリフィが隣で「ボクの館が攻められる」と慌てているが、お前のじゃないだろ。
まあ実質、最近のこの館はコイツがヒエラルキーの頂点になっていたのは確かなんだが。
「まさか本当に生きていたとはね……シフ・ソウラン」
その騎士団の中から出て来た人物、それは、今現在の帝国で最も勢いがあり、ファニスを亡き者にしようとした人物――――――グランドム侯爵、その人であった。
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