第14話  『赤いボタン』

「まあまあ、そう言うな。これがあれば、色々な有事にも対応出来るのじゃぞ?」

「色々トハ、ナンですか?」

「色々は、色々じゃ」



 ドク博士の、答えになっていない答えに助手くんは、心の中でため息をつきながら、再度、操作パネルの内側を眺めます。すると、先程は気が付かなかった、とても押しやすそうな、赤く、丸い形をしたボタンが、今もなお、何かを凄い勢いで映し出しているモニターの右横辺りに付いているのを見つけます。


 いえ、助手くん的には、発見しなかった方が良かった、と言う方が適切かもしれません。何故なら、そのボタンの真上には、黒い球体に波の線が生えていて、その先端にアスタリスクが描かれていたのですから。


 ……絵文字で説明するならば、【●〜*】です。こう。



 これを見た助手くんは、この赤いボタンが何を意味するのか、想像に難くありませんでした。が、あえてドク博士に問いかけてみました。



「博士。アの……モニターの横にアル、そノ赤いボタンは、ナンデスか?」


「うむ。これはな、導火線の点火スイッチじゃ」


「やっパり〜♪」



 助手くんは、顔を反らしながら言いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る