第4話 俺も怪しい奴?

とは言え、俺は友人Aのことをいかがわしい奴だなんて言える立場ではない。


俺は、心理学の講師だ。恋愛心理の研究において、俺の手法の一つは、男性用エロDVDと女性用エロDVDの分析だ。これらの分析によって、男性の持つ恋愛ニーズの一つや女性の持つ恋愛ニーズの一つを分析するのである。


また、俺は心理を操る達人だから心理学の講師になれたのではない。どちらかと言うと、人の心理を瞬時に読み解くことは苦手で、操るなんてさらさらできない。その結果か?恋愛経験だって、欲求不満の女性に遊ばれたり次の本恋愛へのつなぎに利用されたようなものばかりだ。それが悔しいから、必死になって心理学を勉強した。時間をかければ、心理を深く読み解けるようにはなったと思う。


仕事上、学生に対して申し訳ないと思う場面も有る。なぜなら、学生の中には、心理学講師という肩書の俺を恋愛上手だと信じている者もいる。本気の恋愛相談すらしてくる学生もいる。俺は達人の振りをしてアドバイスをする。


そんな俺自身に対して、日常に潜む怖い話の一つとも思ってしまう。まあ、学生の反応からして、それなりに役立ってはいるみたいだ。




ここまで思い、ふうっと溜息をつきながら天井を見上げると、廊下の方でガタガタバスルームの扉の開く音がする。見ると、友人AがTシャツ半パン姿に頭にタオルを懸けて出て来た。目が合うと、友人Aは「何ぼ~っとしてんだ?」と言う。


以上「或る大学講師の笑える成果【怖い話・短編】」。


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或る大学講師の笑える成果【怖い話・短編】 KAKIKURA @KAKIKURA

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