第2話 トンデモ男友人A

俺と友人Aは、大学時代からの付き合いだ。大学時代は同じサークルに入っていたし、今に至るまで二人だけで飲みに行ったりもしている。俺が大学院時代、就職できなかったらどうしようか不安になっていた時、励ましてもらったことも有る。良い友人と言えばその通りだ。


そんなこんな、俺は友人Aの人となりをそれなりにも知っている。ざっくりと言えば、「普通でない奴」だ。エピソードを上げるときりがないが、大学時代のものをいくつか。


・サークル合宿で、集合場所に一番に到着したのに、集合時間が迫るにつれ表情が緊張していって、挙句、忘れ物の確認だの部屋に戻って、最後に集合。


・同級生たちが就職活動でピリピリしている時にも、ストレスも不安も感じない様子であったが、就職活動をしていないだけだった。


・内定を得る同級生たちが増えてきた大学四年生の夏くらいに、「小説家になる」なんてサークルのみんなに公言。


そんな友人Aだが、彼のことを好きだという、1歳下の女子もいた(仮に女子A)。


(この女子Aは、友人Aが小説家になると公言した約1年後に、エンタメ業界に就職。エンタメ業界に就職するような女子Aにとって、友人Aの独特の世界観や驚く言動も、面白いものと捉えていたのかもしれない。)


友人Aと女子Aは恋愛関係まで発展したのかは知らないが、二人で下校したり二人で昼食を取ったりの姿を、俺やサークル仲間たちは目撃。他にも、俺との会話で女子Aは、「友人Aが小説家として生計を立てられるようになって欲しい」と感傷的に述べたこともあった。二人は、いわゆるいい感じに発展しつつあった時期も有った。


まあ結局。女子Aの恋心は冷めたようだけど…。女子Aが、俺も含めたサークル仲間の前で「講師Aの書く小説を私は理解できない」なんて言うことが目立つようになった。その辺りから、二人の距離は遠のいた印象だ。


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