第55話 決着



「ああ! 痛い死ぬ! ああああ!」


 ギリギリで脱出したようで両手を失いながら絶叫を上げる。


『対象の残存確認。殲滅を推奨します』


 いつもは相手を倒すことにはなにも言ってこないバビロンが推奨してくる。

 殺人鬼で危険だということはわかるが、流石に苦しんでいるのでこれ以上手を出すのは酷すぎて出来そうにない。

 モンスターなら狩れるのだが人間は実感として全然違う。

 言葉でどれだけ苦しいか示してくるし、なまじ同じだけに実際にどれだけ苦しいかわかってしまう。


「君も刺されてやりたいだろうけど、私がそいつやるね」


「罪を償わせた方がいいんじゃ」


「それじゃ。こんなやつでも怪我を負わせた君の名前に傷がついちゃうよ」


 闇が男に這い寄っていく。


「やめ! やめ!」


「潔く死んでよ」


「あ……」


 闇から逃げようと転倒すると闇に飲み込まれて殺人鬼は消えた。


「ありがとう。君のおかげで生きれたし、達成できた。好きなことなんでもしたあげるから気が向いたら言ってよ」


 結果的に何のデメリットを負わなかったが何だか釈然としない気分になる。

 俺はバカなので思いつかないがもっとどうにかできたんじゃないかと思わずにいられない。

 もう少し俺のスキルが成長したらあるいはとも。


  ────


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