第44話 速すぎピクシー



「天野君!」


 向かう途中で戻ってくる七海生徒会長と合流した。

 集中力を要するためか、二人を担いできたためなのかはわからないが、顔に玉のような汗が浮かんでいる。


「大丈夫ですか? 二人はドローンピットに乗せてください」


「大丈夫だけど、モンスターが一定の距離をとりながらこっちを見ている。注意してくれ」


『高速移動する該当個体を検知しました。マーキングします』


 バビロンの声が聞こえると、空中を壁と同色の何かが高速で飛び交っているのが見えた。

 擬態して飛ぶっていうことはピクシーか。

 二人が生きていることを見ると様子見だけで殺さないのだろうか。

 そう考えるとピクシーがこちらに向けて、殺到し始めた。

 どういう基準だこいつら。


「生徒会長俺から距離をとってください。ピクシーを焼き払います」


 注意喚起して生徒会長が消えるのを確認すると、火炎放射器で群がってくるピクシーを焼き払う。

 笑いながら焼け落ちていくな。

 ホラーのワンシーンみたいだ。


「階層を戻る階段を見つけているので、それで帰りましょう」


「わかった」


 七海生徒会長に行動方針を言うと、上に続く階段にピクシーを焼き払いながら向かう。

 階段が目前に迫ったところでピクシーが通せんぼするように集合し、人の子供ほどの大きさになる。


「キシシシシ!」


 表面が滑らかになるとピクシーの親玉であるリトルクイーンが姿を現した。


     ───


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