第10話 なんかすごい死亡フラグが立ってそうでワロタ
「あ、安藤ツルギです。スキルは剣術です」
「天野善斗です。スキルはロボット召喚。隣にいる女の子──バビロンは俺のスキルで召喚したロボットです」
「稲葉五月ですぅ! スキルは魔術ですぅ! キィィィィィィ!!」
「まあ一悶着あったけどリセットしていきましょうか」
稲葉が憎しみの咆哮を放つと一年側の自己紹介が終わり、シラメさんがフォローを入れる。
稲葉は涙目で顔真っ赤なのを見ると未だ怒りの渦中の様だ。
これ以上は大変なことになりそうなので、刺激しない様にしよう。
『心理アクセスの結果、対象稲葉五月の心理状態は羞恥と興奮です。彼女は苛むことで好感度が上昇するため、刺激することが推奨されます』
マジかよ。
表面上のは見栄で実際は逆だったのかよ。
確かにさっきのドS執事でなんとなくMの気があるのは察していたが、性癖暴露されて興奮するレベルか。
上げたくねえそんな好感度。
好感度上げてもクラスメイトの関係性じゃなくて、SMとしての関係性が発展するだけじゃないか。
俺は人をしばいて興奮する趣味はねえわ。
やっぱり刺激しないようにしとこう。
「スキル参考にして配置と役割割り振るわね。安藤さんは前衛で接近してきたモンスターを攻撃する近距離アタッカー。天野くんも前衛でモンスターからメンバーを守るタンクをして、稲葉さんは後衛で遠距離アタッカーをして頂戴」
「「「わかりました」」」
シラメさんの指示に従い、隊列を組んでいく。
RPGゲームと似たような感じだから割とわかり安いな。
「じゃあパーティーも組めたし、私たちも行きましょうか」
前衛にシラメさん、俺、安藤。
後衛に稲葉、久留米先輩、小林先輩。
と言った感じでパーティーの陣形が組まれるといざダンジョンに出発することになった。
確かここの卒業生のダンジョン配信者が言うには百層近くあるめちゃくちゃ広いD級ダンジョンということだが……。
中に入るとだだ広い洞窟でメジャーな感じのダンジョンだった。
目新しいタイプでない分訓練には向いてそうだ。
『バトルスタイルに移行。マスターの転移を始めます』
俺がダンジョンを見ている間に元の巨大ロボットに戻ってた様で、瞬きする間にコクピットに転移する。
『マスターの認証に伴いダンジョンスレイヤーモードに移行』
「あらあら、こんなに大きくなって……」「赤くなってイカすじゃねえか」「い、いきなり何よ!?」「お、大きいよ……」「いつ見てもすごいにゃん♪」
周りが巨大のロボット状態のバビロンを見て、反応を見せる中で俺の耳が違和感を捉える。
にゃん?
モニター越しに見ると制服のブラウスのボタンを外して尻尾を怪しく動かすいつものシャムにゃんスタイルになったシラメさんがいた。
「ダンジョンに入った瞬間にシャムにゃん化してる。配信専用キャラじゃなかったのか」
「シラちゃんはダンジョンに入るとスキルの獣人化が活性化して知能が猫寄りになってしまうんよ。知能が猫寄りになるって言ってもダンジョン関連の領域は地上のときと変わらないから安心して」
「迷宮のシラメは見た目に反してキレキレでイカしてるからな」
俺が突っ込むと先輩達がシラメさんの変化について答える。
難儀な体質なんだなシラメさんも。
まあ特にデメリットがなさそうだしいいっちゃいいか。
「あそこの洞穴からゴブリンが2体出てくるにゃ!!」
シラメさんがネコミミをぴくりと動かして左側面の壁を指差すと、ゴブリンが2体出てきた。
獣人化して感覚が鋭くなってるから索敵もできるのか。
知能が落ちるのがあれだが、身体強化と感覚が鋭敏になるのを考えれば獣人化も結構当たりのスキルかもしれない。
『完全防衛のためドローンピットを射出』
シラメさんのスキルについて考えていると、バビロンが武装した白色の配信ドローンの様なものをいくつも飛ばし始めた。
でかい分足の隙間から通り抜けるんじゃないかと思ったが、あれを使ってどうにかするらしい。
前回はあんなものはなかったと思うので家事で上がったスキルレベルで解放した能力くさい。
こんなところでババアの努力が身を結ぶとは。
人生何があるかわからんと思っているとドローン達がゴブリンを通せんぼし、一体を刀を持った安藤、もう一体を稲葉が火球を飛ばして仕留める。
「や、やった!」「ふん、まあこんなところね」
モンスターを初狩りしたためか、小さく跳んで喜ぶ安藤の姿が見えると後方からも稲葉のテンションの上がった声が聞こえてくる。
割と一年のメンバーだけでもいけそうな感じだな。
「あ、新エリア発見にゃん!!」
そのあともちらほらと現れるゴブリンが荒れたが先輩たちが譲ってくれているようで、一年勢の手で捌いていくと大きな壁穴を発見した。
新エリアか。
前見つけたダンジョン配信者がめちゃくちゃはしゃいでたのを思い出すな。
報告するだけでも、攻略しても多額な報奨金が国から出されると言われるやつだ。
「毎年恒例の余興か?」
「余興っていてもこんな大それたものは用意できんと思うよ」
「血の匂いがするにゃん。先輩付きだからモンスターに負けたわけはにゃいと思うけど、罠にハマって怪我をしているかもしれないにゃ。救出に向かうにゃん!」
先輩たちが困惑の声を上げる中で、シラメさんが血の匂いからまだ見ぬ新エリアに救出に向かう方針を打ち出した。
確か新エリアもモンスターはほぼ同じものしか出て来ないはずなので罠に気をつければ大丈夫なはずだが、なんか状況的にすごい死亡フラグが立っている気がしてならないな。
まあ負傷者ほったらかすのも後味悪いし、ついていくか。
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