第8話 ステータス隠蔽


 全寮制ということで、寮の部屋──4LDKの一室に前日に引っ越すと神薙学園に入学した。

 寮の部屋が必要以上に広いのと学校の施設が新しいことを考えると、割と学費が高いのではないかと思える。

 学食には期待できそうだ。


「今日から担任をさせてもらう。武田だ」


 そんなことを考えていると夢現だったこともあってか、入学式が終わり、教室に案内される。

 しばらく担任が来るまで待ちかなと思うと間をおかずに戦闘力の高そうな隻眼の女教師が現れた。

 言わずもがな勉強を教えるには物騒すぎる見た目なので、ダンジョン関連の教師だろう。


「早速だが自己紹介を行なってもらう。出席番号順に名前とともにステータスを表示しろ」


 武田が自己紹介をするように指示を飛ばすと早速生徒が立ち上がって、自己紹介を始めた。


「安藤ツルギです」


 名前は聞こえたが、いかんせんステータスが小さくて見えん。


「ステータスの表示は意識すれば大きくできる。そのままでは小さすぎるから大きくして皆に見える様にしろ」


「あ、はい!」


『安藤ツルギ

 年齢:15

 レベル1

 HP:10

 MP:10

 攻撃:12

 防御;5

 気力;10

 早さ:10

 賢さ:5


 スキル

 剣術 LV1』


 安藤が生返事をするとステータスが黒板の方に大きく表示された。

 ほとんどのものが拡大される様を初めて見るようでところどころから「オオ……でけえ」と言った感嘆の声が上がる。

 どうやら公に知られていないものらしい。

 最初に言って欲しかっただろうな、安藤。

 あとで追加で入ってきたので、出席番号は既存の生徒の後ろに回されているが本来なら俺がトップバッターだったので、そう思うと肝が冷える。

 武田は鬼教官みたいな出立ちだが、肝心なことを言い忘れているので意外にドジっ子ぽいな。

 何か怪しいなと思ったら突っ込んだ方が良さそうだ。


 それにしても今の安藤のステータスと比べると俺のレベル1の時のステータスの高さは異常だな。

 まあ巨大ロボットのレベル1と人間のレベル1のステータスを比べたらそれは違うのは当たり前かもしれないが。


 そのあと入学式で答辞を述べた稲葉という女子がレベル5だった以外は皆レベル1で、稲葉に関しても他の生徒の値を大きく逸脱するような値ではなかった。


「稀崎麗矢です」


『稀崎麗矢

 年齢:15

 レベル5

 HP:50

 MP:25

 攻撃:50

 防御;10

 気力;50

 早さ:30

 賢さ:25


 スキル

 マジックアロー LV1』


「ふーん、やるじゃない」

 

 俺の前に座っているザキが自己紹介すると、稲葉が「この低レベルな世界で自分と同レベルのやつがいたか」みたいな感じで呟いた。

 なんだか稲葉プライド高そうだな。

 俺のステータス見せたらプライドがへし折れて、メンタルブレイク闇堕ちしそうな気がしてきた。


『マスター。ステータスに似したホログラムを表示させることで、ステータスの偽装ができます』


 俺が内心で懸念を抱いていると心を読み取ったのか、一緒に同行してきて後ろの席に控えているバビロンが念話してくる。

 そんなこともできたのか、こいつ。


『そうか。じゃあ俺が名前言ったタイミングで適当なの頼む』


『了解しました』


「天野善斗です」


「マスターのロボット、バビロンと言います」


『天野善斗

 年齢:15

 レベル1

 HP:10

 MP:10

 攻撃:10

 防御;10

 気力;10

 早さ:10

 賢さ:10


 スキル

 ロボット召喚 LV1』


 自己紹介とともに俺の横に制服姿のバビロンがやってきてペコリと頭を下げると、ホログラムが黒板に表示される。

 おお、見た目まんまステータスだ。

 これならばわからないだろう。


「うおお、あの子かわいいな!」「あの子、あいつのスキルってマ?」「なんかあいつ見たことがあるような」「ロボットのやつじゃねえか? いや他校の生徒だから違うか」「スキルで美少女使役できるとか裏山」


 どうやらみんな騙された様で、ステータスもどきのホログラムを一瞥すると物珍しい形で発現しているスキル──バビロンに目を向け始めた。

 俺のステータスを知っているザキは若干不審そうな目で見たが、察したようで沈黙したので、完全に稲葉のメンタルが逝く可能性が消えた。

 そうして大きな不和が起こるでもなく自己紹介は終えることができた。



  ────


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