第2話 強固な信念に裏打ちされた躯体こそが、まさしく革新の音を響かせる。

 ぼんやりとした午前5時半。

 いまだ明るい常夜灯。

 玄関には、すこし痛んだモカシンブーツ。

 朝倉が以前言っていた。

 彼女は車好きではないが、ドライブは好きだそうだ。

 深夜に車を走らせると辺り一帯を占有したような、そんな気分になるという。

 誇らしい心持ち。

 ちょっとした非日常感に浸る事が出来る。

 明日を忘れることが出来る、と言っていたことを少年は思い出した。


 窓を開けると都会の味がする。

 食事を摂らずに歯を磨き、身支度をして街へ繰り出す。

 街といっても、くすんだ色の住居が軒を連ねている。

 航空法やらで人口の割には立派な(高層建築といった)モノを建てられないという話があった。

 そうか、と少年は過去に思いを巡らせた。

 その建物の高さの話は、先日ハンバーガーの店で大学ノートを傍に置き、必死に「不動産ビジネス」についてメモを取る若者に、横文字ばかりの説話をする壮年の男性が話していたことだった。


 ともあれ、この街は中途半端なのだ。

 田舎いうにはあまりに自然がない。

 緑は公園や河川敷とか街路樹、あとは建物の花壇くらい。

 人は少ないが、頭数と比べてやけに子供が多くそこかしこで騒音を撒き散らしている。

 通学路を通る時にサラリーマンが.

「4人もガキこされるんじゃなかったわ」

 と言っているのを聞いた時には流石に義憤を生じたのだった。


 そうこうしているうちに、大学の近くの弁当屋に着いた。

 流石にまだ開店していない。

 ここの薄く叩き延ばされたチキンステーキ弁当を少年はほぼ毎日購入していた。


「弁当は食べれるのに、友達の親御さんが作ってくれた料理は食べれなかったりするんだよな」

 少年はポツリと呟いた。

 人を信じない。だが、誰が作ったか炊いたか分からない弁当の米は胃におさめる。

 矛盾だらけの毎日である。

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カムライティンに憧れて アボリジナルバタースコッチ @ikayarod

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