第31話 魔王
「おい、そりゃ花人だろ?」
心臓がキシキシと音を立てる。
「あ?肥料だ肥料!よく育つんだぜ!」
同じく人と名のつくものに何故こんな仕打ちができる?喋れるんだぞ?
「昔っからいい肥料ってのは貴重でな!だがこいつらバカだから神に逆らって死にに行ったらしいぞ?」
それは反旗を翻し勇敢に散っていったんだろうが!
「あはは、だがいい肥料が手に入って良かったよ!アブべッ!!!」
「誰が肥料だ?」
「な、なんだお前!よく見りゃ花人じゃねーか!」
「お前らは人と同じように過ごしてる花人が肥料だと言ったな?お前らの中に人間という言葉はないのか?」
「は?お前何言ってんだ?人間は人間だけだろ?あとはほら、獣人とかエルフも違うな!」
「あいつらはいい奴隷だ!死んでも肥料になるのは花人だけだがな!あっはっはっはっ!」
「行こう!斬る価値もない!」
「お、おいふざけんなよ!俺を殴っておいて」
「サンダークラッシュ」
「アババ…」
「行こう!ここは腐ってる!」
ここの人間は一番上に自分らを持ってきてそこから下に全てを配置している。
花人や獣人がいなくなっても笑っているだけだろう。
もしかしたら今の地球には昔いたかもしれない。
いや、今はそんなことはいい。
今はとにかくククノチとかいう神をぶん殴る。
「あと二、三日ってとこか」
「だな!さすがに街や村はなくなってきたな」
「根がぶっといからな!」
「これ入口わかりますか?」
「なければ作る」
「えー、入り口から入りましょうよ?」
「多分入り口を探すのは手間だろう。何ヶ月もかかる」
「そうだぞ?ならぶった斬って中に入ろうぜ!」
「それにガーベラが言ってただろ?獣人やエルフの力も必要だって、入り口なんて作ればいいさ」
ようやく大樹ユグドラシルに着いた。
手を当ててみるかすかに感じる生きている音が聞こえてくる。
みんなが手をつくとそこに入り口ができた。
「しゃっ!いくぞ!」
「「「「「「おう!」」」」」」
中に入って行くとまんまダンジョンだ。
50階層は登ったがまだまだ上があるだろうな。
ドロップはあるしこれを売るだけで大金が稼げるな。
しかし今は上に行くことだけ考える。
100階層まだまだ先が見えない、だがこんなところで立ち止まるわけには行かない。
結局200日かけ、1000階層登ってきた。
どんどん強くなって行く魔物に苦戦するし、罠も増えこちらから行くのを阻んでるようだった。
「よーく登ってきたね?」
「お前がククノチか?」
「あはは、神に向かって呼び捨てはないんじゃないかな?」
「テメェが神なら何故花人を滅ぼすんだ!」
「滅ぼす?違うな滅びるんだよ。君なら見てきたから知ってるだろう?花人がどういう扱いを受けているのかを」
「…あぁ、でも神なら」
「神は何も干渉しない」
「なら何故あんな大量の死体が?…まさか」
「人間だね」
「…これは人間の仕業で結局神は見てるだけってことか?」
「そう言うこと、時期に獣人、エルフといなくなり人間の世界になるだろうね」
「なぜだ!人間はなんでこんなに強欲なんだ?共存できるだろう!」
「それは人間を作った神に聞くべきだ」
「くっそオォォォォォ!!!」
「そう、この愛する世界は大樹ユグドラシルで支えられている。平面世界だ」
「それがどうした?」
「人間は最後自分たちでこの木を切り倒して最後を迎える」
「…それでも神は」
「何もしないよ?だってそれが神だからね」
「そうかよ!自分がいなくなったとしても何もしないのか!なら俺はこの世界の人間を抹殺する!」
「君は魔王になりにきたのか?」
「…ハハッそうか!そうだな!そういうことか!」
「やめろ!タカ!魔王になるなんていうなよ?」
「アキ!見ただろ?人間はなんでも自分のものにするんだ!サイラス!魔王は滅ぼすべきてきではなかったんだよ!」
「タカ、俺はそうは思わない、中にはたかみたいに考える奴もいるってことがわかったから」
「だめだろ!それじゃあ!あんな酷い真似ができるんだ、人間なんていなくなれば世界は平和になる!」
「やめろ!人間は確かに醜いが、俺らも人間だろ?」
「俺はもう人間じゃない!花人だ」
「それは違うだろ!人間も花人も一緒だってそう思ってるだろ!」
「そう思ったからこそだよ!アキ、サイラス、ありがとう!お前たちは帰れ!」
「ちょっと待て!タカ!お前も帰るんだ!ここは忘れてしまおう!」
「ダメだアキ、俺は決めたから!それじゃあな!」
アキとサイラスの後ろに黒い渦が出るとタカは2人を押した。
「待て!おい!」
「タカ!だめだ!待ってくれー」
2人は自分の世界に帰って行った。
「さて、みんなも」
「私達は貴方のそばに」
「いつまでも一緒」
「魔王になればいい」
「…私達も同じ」
「離れないよ」
「みんな、ありがとう」
「君は魔王になるのかい?」
「そうだなとりあえず人間を根絶やしにする」
「そうか」
「止めないのか?」
「神は干渉しない」
「そうか、ではな」
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